もう一人のドリームナージャ3(操られた貴公子編)

□第2章 貴公子とピアニスト
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マコレットの演奏が終わると会場中が拍手喝采になった。マコレットは、お客に向かい一礼して、ステージの裏にもどっていった。オスカーは知らないうちに彼女の姿を目で追っていた。
「とてもすてきな演奏でしたわね、オスカー。」
とヒルダが声をかけたがオスカーはヒルダの声が全く聞こえていない。彼の目は、マコレットがステージから去ったところを見つめていた。






ダンデライオン一座の公演が終わり、団員たちがお客さんからお金をもらいに回ってきた。マコレットは、手に持った袋にお客さんからお金をいれながら回っていた。オスカーは、マコレットに話しかけたくてマコレットの姿を追っていると、ナージャがオスカーとヒルダの姿に気づき挨拶をしにきた。
「ヒルダさん、オスカー。お久しぶりです。公演楽しんでくれましたか。」
ナージャが二人に声をかけると二人はナージャの方を向いて、挨拶をした。
「ナージャあなたのダンスすごく良かったわ。コレット様が見ていたらとても喜んだはずよ。」
ヒルダはナージャに言った。それを聞いてナージャは照れ臭そうな顔をする。すると、マコレットがナージャのもとに歩み寄ってきた。
「ナージャ知り合いなの?」
オスカーは、マコレットが近くに来てドキッとした。そうとは知らないマコレットは、無邪気にもオスカーに笑いかける。その笑顔を見てオスカーは、自分の心臓の鼓動が早まるのを感じた。
「マコこちらは、コロレード伯爵家のオスカーとオスカーのお母さんのヒルダさん。」
「初めまして。私は、ダンデライオン一座でピアニストをやっているマコレットです。みんなからマコって呼ばれています。」
マコが言うと、オスカーは手を出したので、マコはオスカーと握手をした。
「初めまして、マコ。オスカー・コロレードです。お会いできて光栄です。」
オスカーは握り返してくるマコの手の暖かさを感じながら言った。そして、マコはヒルダさんにもあいさつをした。
「君の演奏とてもよかったよ。なんだか心を奪われるようなそんな演奏だったよ。」
オスカーは、マコに本当のことを言った。マコは、ありがとうとオスカーに言ったが、オスカーの今言った言葉の真意までは分からなかった。実際にオスカーは、マコの演奏を聞いて心を奪われてしまった。オスカー自身もそのことに驚いていた。この黒髪の少女が一瞬にして自分の心をとりこにしてしまったことに・・・。
「えーと、これから食事に行こうとしていたところだったからナージャさんどうかしら?」
ヒルダがナージャを食事に誘おうとすると、マコは、自分はその場にいないほうがいいと察したのか立ち去ろうとする。オスカーは思わずマコを引き留めたいがためにすかさず声をかけた。
「マコも、・・どうかな。ナージャや僕らと一緒に・・。」
マコは、振り向いてニコッと笑った。オスカーはその笑顔を見てまた心臓がドキッとなった。
「喜んで。一緒にいかせていただきます。」
その光景を遠くで見ていたケンノスケはまた面白くなさそうな顔をした。
「最近、マコのファン増えてないか?ナージャもそうだけど・・・。」
「ほんとね。マコは気づいてないけど、あのコロレード家の子、マコにメロメロね。」
シルヴィーが言うと、ケンノスケの機嫌がさらに悪くなった。ケンノスケの隣にいたリタはケンノスケの肩を叩きながら言った。
「ケンノスケ!焼きもち焼かない!」
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