もう一人のドリームナージャ15(マザーローズ編)

□第4章 ショック
1ページ/3ページ



「ナージャ・・ナージャ・・・。」
誰かが自分の名前を呼んでいると感じたナージャ。そして、うっすら目を開いた。
ナージャの目に映ったのは、星の宿した瞳だった。
「フランシス・・・。」
ナージャは、ゆっくりと上半身を起き上がらせようとした時、彼によって抱きしめられた。
「ナージャ・・、怪我はないかい?」
やさしく抱きしめられたナージャは、途端に顔が赤くなってしまった。
「フランシス・・わ・・私大丈夫よ。」
ナージャから変な感じでの返答が帰って来たため、フランシスは、さらにぎゅっと抱きしめる。
「ナージャ、君のことは絶対僕が守るから。」
耳元に静かにフランシスにささやかれてますますナージャは、ドギマギしてしまう。



ザワザワ――
近くにあった茂みから音がして、フランシスがとっさにナージャを守る体勢をとる。しかし、茂みから現れた人物の正体を見て思わず声をあげてしまった。
「お母様・・・。」
「え?」
ナージャは、フランシスの反応を見てから現れた人物を見た。
「ごめんなさいね、邪魔するつもりはなかったんだけど・・・。」
少しも悪びれるそぶりもなく、自分の息子とその恋人を見る。
「お母様!」
「フランシス、恥ずかしがらなくてもいいのよ。ナージャさんのこと本当に好きなことくらい知っているんだから。」
ニコリとしてナージャの方を見る。ナージャは、顔を真っ赤にさせ、フランシスは、少し困った顔をしている。
(アメリアさんって、キースと同じで少しからかうのが好きなのかな?)
ナージャがそんなことを考えていると、アメリアが二人の側に歩み寄った。
「でも、本当にかわいい娘ね。私、子どもは男の子だけだったから、ナージャさんみたいな娘も欲しかったのよ。」
意味ありげな言葉をかけられているにも関わらず、ナージャはきょとんとしている。一方のフランシスは、少し動揺しているようだ。
「えーと、私もお母さんが二人いるのってすごくうれしいことだし、私のこと娘だと思って接してくださいね。」
ナージャの返答に微笑み、少し間をおいてアメリアが話し出す。
「ええ、そうね。いずれそうなるんですもの・・今からそうさせていただくわ。」
アメリアさんが言うと、ナージャもニコリと笑う。しかし、ナージャは言葉の意味などあまり考えていない。これにはフランシスは、頭を掻くしかできない。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ