もう一人のドリームナージャ12(ドーバー海峡編)

□第16章 万華鏡
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数十分前、キースは自分のもとに戻ってきた万華鏡を見ていた。その万華鏡を今後どうするべきかと彼は悩んでいたのだった。ナージャのもとからブローチと万華鏡が離れた際にキースは、ナージャにブローチと万華鏡を一緒に返すことができなかった。それは、どうしてかはなんとなく分かっている自分がいた。そう、以前はこの万華鏡を持つにふさわしい人物はナージャだけしかいないと思っていた。しかし、今は、そうじゃない気がしていた。
そんな時にキースのもとにナージャがやっていた。ナージャの目にはキースの持っていた万華鏡が見えた。
「その万華鏡・・・久しぶりに覗いて見ていたの?」
ナージャの問いかけに一瞬キースは、ドキッとした。
「・・・ああ、そんなところだ。」
キースは、万華鏡を見ながら言った。ナージャは、キースの隣に座った。
「キース・・・万華鏡は、マコレットにあげて。」
「え?」
急なナージャからの提案に驚いてキースはナージャを見た。
「だって、今その万華鏡を持つのにふさわしいのは私じゃないでしょ?」
「・・・・。」
その問いかけにキースはどう答えていいか正直分からなかった。
「キースのお母さんだって、きっと私よりマコに持ってほしいと思っているわ。」
「ナージャ・・・いったいどうしたんだ?」
「別に私は・・・ただ、キースとフランシスのお母さんがマコを守ってくれる気がしたからよ。」
ナージャが、優しくキースに言った。キースは、ナージャの言った言葉が、ナージャらしいなと思った。
「母さんが、マコレットを守ってくれると思っているんだな・・・ナージャは・・。」
「ええ。だって、キースにとって大切な人なんでしょ。だったら、きっと守ってくれるわよ。それにマコだってあなたに渡されたものなら大切にするわ・・・きっと。」
ナージャの言葉に戸惑いつつ、そうなるのが一番いいのだとキースは、思い始めていた。
「あいつは、受け取ると思うか?」
「・・・マコは、きっと受け取るわ。だって、あなたからの物だから。」
キースにナージャは、微笑んだ。その笑みは、まるで天使のようだった。キースは、ナージャの笑みを見てなんとなく自信が湧いてきた。
「ナージャ、ありがとう。」
「え?私なんか感謝されること言ったかしら?」
ナージャは、首を傾げている。キースは、その様子を見て笑った。
「ああ、十分にね。」
キースは、そう言い切ると、マコのいるところへと向かったのだった。
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