もう一人のドリームナージャ10(ブラックバレンタイン編)

□第14章 救出
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偽物のマコが、毒殺未遂の事件を起こす少し前ウィリアムの部屋で、マコは自分の腕につけられた手錠を外そうとしていた。しかし、ピンをどう動かしてみてもあかない。
「どういうこと?このくらいやっていればあくんだけど・・・。」
マコが首を傾げながら言っていた時、勢いよく扉がバンと開いた。マコはその音に驚いた。そこに立っていたのは、すごい形相をしたウィリアムだった。ウィリアムは、またすごい勢いでドアを閉めると、マコの方にやって来た。マコは、さっきとはまるで違うウィリアムに困惑気味だった。ウィリアムが、勢いよく、マコの右腕を掴んだ。
「痛い!」
マコは強く引っ張られて、思わず言った。しかし、ウィリアムは、謝るどころかマコをにらみつける。
「マコレット、君ばらしたのかい?」
「え?」
「僕と君のやっていることをだよ。」
その言葉を聞いてキースの姿が脳裏に浮かんだ。
「ウィル、そんなこと・・・。」
「それもよりによってあのキースって男に!君は、そんなにペラペラ話す人だとは思わなかったよ。それに・・。」
マコはウィリアムの表情がだんだん悪魔のように思えて来た。そのくらい怖い顔をしている。
「それに?」
「君は、彼に愛されているね。」
「はあ?」
マコは間抜けな声を上げる。
「とぼけるなよ。あいつは、君のことを愛しているよ。君はどうなのかな?」
「とぼけてないわ。第一、キースが好きなのはナージャであって私ではない。」
「ふーん、僕にはそう見えないな。彼は君をどう愛してくれているんだい?」
マコの答えなんて右から左に流しているのかダレンが全く聞いていない。
「だから、ウィル私とキースはそんな関係じゃないわ。私の言っていることを信じてくれないの?」
「信じるだって。君が秘密をばらす時点で、信じると思うかい?」
「それは・・・。」
マコはなんて言っていいか分からなかった。しかし、今の自分とキースの関係はそんなウィルがいう恋人同士の関係ではない。
「でも、本当にキースとはなんでもないの。」
「じゃあ、聞くけど君は彼のことどう思っているんだい?」
「・・・・・。」
マコは黙ってしまった。
「君は、僕のことを憧れていたって言っていたよね。でも、その気持ちは恋愛的な感情ではない。」
マコも、自分が最初にあこがれた人物はウィリアムであるが、その気持ちはあくまで憧れ的な好きという感情であることについさっき気づいた。そう、自分の本当の恋は、ウィリアムではないのだ。
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