もう一人のドリームナージャ10(ブラックバレンタイン編)

□第12章 取材
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取材をうけることにしたウィリアムは、ロビーに向かった。ロビーにはジェーン・ブラウニーと女性記者が一人待っていた。ウィリアムが、近づくとジェーンは手を振った。
「待っていたわ。さあ、向かい側に座って。」
言われた場所にウィリアムが座る。
「さて、さっそくいくつか質問してもいいかしら?」
「どうぞ。」
ウィリアムが笑顔でいうとジェーンは、ペンとメモ帳をもちながら質問をしてきた。
「一つ目は、今回のコンクールについての意気込みを聞かせてくれるかしら?」
「今回のコンクールは、僕にとって重要なものであると考えています。」
「それはどうしてかしら?」
「僕は、今回のコンクールで優秀な賞を取ることで今以上に僕の音楽家としての地位を築けると思っているからです。」
ウィリアムが言うと、ジェーンがメモを見ながらしゃべる。
「確かあなたの家は、だいだい音楽家だと聞いています。それなりにプレッシャーもあるでしょう?」
「はい、そうですね。ここだけの話僕は常にプレッシャーを感じている。でも、それが逆に僕を強くすることにつながっているんじゃないかと思っています。」
「へえ、若いのにすごい精神力ね。・・・そういえば、今回のコンクールのお題は、恋についてだったわね。あなたは、どんなことを思いながら曲を作ったのかしら。」
ジェーンが聞くと、ウィリアムが少し考えてから答える。
「そうですね。大切な人を思い浮かべながらですかね。」
「恋人でもいるのかしら?」
その問いかけにウィリアムが苦笑する。
「えーと、まだ恋人らしい方は、僕にはいませんが、その代わり僕にはミューズがついていますから。」
「ミューズ?」
「ええ、音楽の女神ですよ。彼女が微笑んでくれたらきっと今回もコンクールもうまくいくんじゃないかと思います。」
ウィリアムが笑顔で答えると、ジェーンが納得した様子で頷いた。
「じゃあ、取材はこれでお・・・。」
ジェーンが言いかけた時に一人の男性がこちらに向かってきた。
「ハービー!」
ジェーンが声を上げると、ハービーは、ジェーンと一緒にいたウィリアムを見た。
「ウィリアム・ホーキンスさんですね。」
「はいそうですが、あなたは?」
「私は、ジェーン・ブラウニーと同じ会社で記者をしているハービー・リビングストンだ。」
ハービーが言うと、ウィリアムは、不思議そうな顔をする。
「あのこれはいったい?あなただけではないんですか?」
ウィリアムがジェーンの方を見ながら言った。ジェーンが少し慌てて繕う。
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