もう一人のドリームナージャ10(ブラックバレンタイン編)

□第9章 黒バラの思い
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ナージャは、偽物のマコと楽しく話した後、フランシスとキースの部屋に行ってくることを伝えた。
「ちょっと、二人の部屋に行ってくるね。」
「分かったわ。でも、気を付けてね、ナージャ。」
「え?」
「かわいいうさぎをオオカミが狙っているかもしないから。」
マコがからかい半分で言うと、少し顔が赤くなった。
「ははは、冗談よ。」
マコは笑いながら言った。
「もう、マコったら。」
ナージャはこの時マコとキースの共通する部分をみつけた。そう、ときどき二人ともナージャに対して冗談や意地悪をするという点だ。
(なんだか、やっぱり二人は気があうのかな?)
ナージャがそんなことを思いながら隣の部屋に入った。




隣の部屋に入るとフランシスとキースがなんだか楽しそうに話していた。こんな光景をみるとやっぱり二人が仲のいい兄弟なんだとナージャは思った。
「ナージャ?」
二人が声をそろえて言った。ナージャは、おもわずさすが双子と思った。
「ごめんなさい。楽しく話していたのに。」
「別にかまないよ。」
フランシスが答える。すると、ナージャはフランシスの方を向いて言った。
「フランシス、ちょっとだけキースに聞きたいことがあるの。」
そのことを聞いてフランシスとキースは顔を合わせる。でも、フランシスはナージャの頼みだから快く部屋を出て行った。
「俺に聞きたいことってなんだ?」
キースがナージャに聞いた。キースにしてみれば、フランシスを部屋から追い出すほどのなにか重要なことなのだろうと思った。
「えーと、その・・・。」
「ナージャ?」
マコの時と同様ナージャはどう聞いていいか戸惑った。でも、結局マコの時と同じような質問をした。
「キースって好きな子でもいるの?」
あまりに突拍子に聞かれてキースは、一瞬固まってしまった。そして、無言の時間が流れる。
「・・・その・・なんていうか・・・少し気になったっていうか・・・。」
「ナージャ、俺には君が本当に知りたがっていることが分からないが。」
キースはナージャに言った。どうやら、キースはナージャが本当に聞きたいことを遠まわしに言っていると思ったらしい。キースは、フランシスと違ってすぐになんでも白黒はっきりさせたがる。それは、良いところでもあるが、この場合には不都合な性格だとナージャは思った。
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