もう一人のドリームナージャ10(ブラックバレンタイン編)

□第7章 愛の形
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そのころナージャ、フランシス、ジョン、ダレンは、一緒にホテルに戻ってきていた。ダレンは、相変わらず顔色がわるそうだったが、ナージャはなんだかウキウキしている。
「よかったわ。きっと彼がマコの初恋の人なのね。私、あんなマコ見たことなかったから驚いたわ。」
ナージャが笑顔で話している横で、ダレンが10回目のため息をした。それを見たフランシスは、昔の自分を思い出していた。そう、恋敵がまさかの双子の兄だということを知ったときのことを。そう思うと、なんだか気の毒な気がした。
「フランシスだって、あの二人がお似合いな気がしたでしょ?」
フランシスにナージャが問いかける。フランシスは、もともと生真面目な性格だったので、正直嘘でも喜ぶことができなかった。なぜなら、フランシスは、兄のキースを本人には気づかれないように応援している身だったからだ。
「えーと、ナージャ・・・まだ決めつけるのは早いと思うな。」
苦し紛れにフランシスが言った。
「そうかな・・・だって、なんだかいい雰囲気だってし。マコもちょっとうれしそうだったし。」
ナージャが思ったことを言うたびに横にいるダレンの心臓にぐさぐさととげが突き刺さっているのだということを彼女は知らなかった。
「ナージャ、あまり先走らないほうがいいよ。まあ、マコレットだって小さいときの話っていっていたし・・・。僕は、その結論を出すのは早い気がするよ。」
フランシスが言うと、ダレンが続けて言った。
「そうだ、フランシスの言う通りだ。まだ決めつけるのは早い。」
ダレンは、自分に言い聞かせるように言っているのだとフランシスは思った。しかし、ナージャは、そうは思っていなかった。
「フランシスがそういうなら・・・でも、マコが帰ってきたら聞いてみよう。楽しみ。」
その言葉にまたもや手汗を握るダレン。フランシスは、ナージャが無意識に言っているのだと思ったが、ダレンにとっては酷なことをいっているなと思った。
そんな時、あのウィリアムが一人でホテルのロビーに現れた。ナージャは、なんでマコと一緒ではないのだろうと不思議に思った。フランシスも、さっきの状況を考えるとなんでマコと一緒にいないのかと思った。そして、3人が駆け寄った。
「やあ、ダレン。わざわざ待っていたのかい?」
ウィリアムが言うとダレンが言おうとしていたことをナージャが聞いた。
「あの・・・マコはどこに?」
「ああ、彼女ならキースという青年に横取りされてしまったよ。たぶん今頃彼と一緒なんじゃないのかな。」
それを聞いた3人が驚いた顔をする。そしてそれを聞いたダレンはホテルの外に飛び出した。フランシスは、ダレンが二人を探しに行ったのだと思った。
「なんでキースが?」
「さあね。彼マコレットに気があるんじゃないのかな。」
ナージャはその言葉を聞いて一瞬固まってしまった。
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