もう一人のドリームナージャ10(ブラックバレンタイン編)

□第6章 ミューズ
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突然のことでそこにいた誰もがマコとウィリアムをじっと見ていた。そんな状況にも関わらずにウィリアムは、マコの手をまだ握ったまま話そうとしない。
「マコレットしばらく会わない間にきれいになったね。」
ウィリアムがマコに言うとマコの顔がますます赤くなった。そんな状況を面白く思わなかったダレンが二人の間に割って入り、ウィリアムの手をマコから離させた。
「ふ・・二人とも知り合いだったなんて知らなかったよ。それにマコレットも知り合いなら言ってくれればよかったのに。」
突然のことで動揺を隠しきれないダレンを見て、フランシスがなんだかさっきのキースを見ているような感じがした。
「えと・・・えと。」
マコは動揺のあまり答えになっていない。そんなマコを見てウィリアムが代わりに答えた。
「マコレットは、以前僕の屋敷にいたんだ。そう、僕の遊び相手としてね。」
ウィリアムがそう言ったが、ダレンやその場にいた誰もがただの遊び相手には見えないと思った。そして、ウィリアムがジョンの方に目を向けた。
「君が、ジョン・ウィタードさんですね。まさかコンクール前に会えると思いませんでしたよ。お互い、コンクールでは頑張りましょう。」
ウィリアムが握手を求め、ジョンもそれに応じた。しかし、次の瞬間、ウィリアムは不敵な笑みを浮かべた。
「ああ、言い忘れていましたが、あなたには、ミューズはいらっしゃいますか?」
ウィリアムが聞くと、ジョンはきょとんとした顔をする。
「そうですか。なら僕は、あなたに絶対負けませんよ。なぜなら僕には、ミューズがついているからね。」
そう言うと、マコの方を見た。どうやらウィリアムがいうミューズとはマコのことらしい。そして、握手をし終えるとウィリアムがマコに優しく声をかける。
「マコレット、今時間は空いているかい?」
マコは、突然の声掛けにドキッとしたみたいで、まだ動揺している。
「あ・・空いているけど・・・。」
マコの返答に満足いったのかウィリアムがニコッと笑う。
「なら、これから一緒にランチでもどうかな?そういけば、君の好きなイチゴタルトの美味しいお店みつけたんだけど。」
ウィリアムが言うと、マコはなんだかどうしようかと迷っているみたいだった。ナージャは、この人がマコの好きな人なのかと思い、マコを応援しようとした。
「マコ・・よかったわね。二人で行ってみたら?」
「え・・でも・・ナージャ。」
ウィリアムがナージャの対応に満足したのかマコの手を優しく取る。
「じゃあ、行きましょうか。マコレット。」
ウィリアムがそう言うと、マコは立ち上がった。
「じゃあ、ダレンちょっとこれから僕たちランチに行ってくるから。君は、好きに過ごしていてくれ。それじゃあ、失礼するよ。」
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