もう一人のドリームナージャ10(ブラックバレンタイン編)

□第5章 初恋について
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そのころマコたち4人は、近くの公園にいた。気分転換に外に連れ出してきたジョンは、さっきよりもどこか明るかった。そんなジョンの姿を見て、フランシスは気分転換にジョンを連れだしたのは正解だったと思った。
「外に久ぶりに出たからなんだか新鮮だよ。」
ジョンが言うとナージャが隣で言った。
「そうよ、ジョン。たまには外に出ないと、頭が働かないわよ。」
「確かにそうね。第一作曲には、イメージが大切よ。」
マコはそれに賛同しながらジョンにアドバイスをした。マコは、ジョンと同じピアニストで作曲家であったため、ジョンに少しでもアドバイスをできればいいと思っていた。
「マコの言う通りだね。こうしていると、部屋にいるよりも曲がイメージしやすいかもね。」
その会話を聞いていたフランシスが、ジョンがスランプから向け出すことも近いかもしれないと感じ始めた。もともと、ジョンはスランプに陥ってしまうと結構長く抜け出すことが難しいたちであったが、彼に少しでもリラックスできる時間が増えれば、きっと自然とアイデアが出てくると思っていた。ジョンの才能は、天才と言われているだけあって、スランプから抜け出せば、素晴らしい曲を作れると信じていたからだ。
「そう、その意気よ。」
ナージャがジョンに笑いかけると、ジョンも嬉しそうに微笑んだ。どうやら、好きな女の子や友人たちと散歩できることがうれしいみたいだ。
(やっぱり、ジョンにとってナージャは特別なんだよね。フランシスは、気づいているか知らないけど・・・。まあ、ジョンの方は気づいているみたいな気がするけど。友人のフランシスにならナージャを譲ってしまうのかもね。)
しばらく歩いてから4人は、ベンチに腰を下ろした。そして、ふと、ジョンがため息をした。
「どうしたんだい?」
フランシスが、隣に座ったジョンに問いかける。すると、ジョンは、フランシス、ナージャ、マコの方を見て言った。
「実は、今回のスランプに陥った原因は、ウィリアム以外にもあるんだ。」
「え?」
ナージャとマコは不思議そうな顔をした。マコとナージャは、てっきりウィリアムが作曲のスランプの原因になっていると思っていたからだ。
「他に原因があるのかい?」
フランシスがナージャとマコの代わりに問いかける。
「もちろん。前評判で僕よりも才能があるとか、今回のコンクールでは彼の圧勝だとか言われたらきになるけど。他にもあったんだ・・・実は今回のコンクールの課題曲のお題が・・・恋に関する曲ということになっていて、僕としては今まで作ったことがない分野だったからどうしたらいいものかと思っているんだ。」
それを聞いて、3人は一瞬固まってしまった。ナージャとフランシスは、少し恥ずかしそうな顔をしている。一方のマコは、そのお題を聞いて難しいなと思った。それぞれの反応が少し異なっていたので、ジョンの方もどう3人に聞いてよいか戸惑っているようだった。
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