もう一人のドリームナージャ10(ブラックバレンタイン編)

□第4章 恋敵
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そのころキースは、ダレンと一緒のホテルにいた。ダレンは、友人に会いたがっていたが友人であるウィリアムがホテルに戻ってきていないことを知り、ロビーで待つことにしたのだ。しかし、思わぬことにキースが自分と話しをしたいと切り出してきた。どうやら、ジョン・ウィタードの友人であったのは、あくまでフランシスとナージャ、マコレットであって、キースは友人ではなかったようだ。だから、キースは、ジョンに会いに行かず自分と一緒にいることを選択したのだ。
二人がホテルのロビーにあるソファに向かい合って座った。ロビーには、穏やかな時間が流れている感じがするのにダレンとキースの座っている場所だけが変な緊張感を放っていた。
「君から、僕に話したいことなんて珍しいじゃないか。それによかったのかフランシスたちと一緒じゃなくて?」
ダレンがキースに話を切り出す。
「ああ。マコレットも一人で行動しなければとりあえずは俺がいなくても大丈夫だからな。まあ、おまえが俺に喧嘩を売らなければ話す必要もなかったがね。」
キースがダレンをにらみつける。ダレンは、その青い瞳の中に燃えている炎を見逃さなかった。
「へえ、喧嘩とはまたとんでもない思い違いだね。俺は、マコレットをエスコートしただけで、君に見せつけただけではないよ。」
ダレンがキースに言った。
「エスコートか・・・言葉の言い回しが得意だな。どうやら言葉は使いようらしいな。まあ、それはともかく、お前はマコレットのことを・・・。」
「ああ、本気だ。だから、おまえにやすやす渡すつもりはない。」
その言葉にキースは、笑った。
「何がおかしい?」
「おかしいだろ。第一マコレットは、お前のものじゃないだろ?」
キースが意味ありげに言った。その顔にはどこか自信がある。
「お前まさか・・・。」
「だったらどうするんだ?」
キースの挑戦的な態度にダレンの黒い瞳が光る。二人の間で、目には見えない火花が散っていた。
「たとえマコレットとお前の間で何かあったとしても、絶対俺は、マコレットをあきらめる気はない。絶対、彼女を振り向かせる。」
ダレンが低く、意思の強い声でキースに言った。
「ふーん。随分な自身だな。だいたい、お前はあいつを守ったことがあったのか?」
「え・・・。」
ダレンがマコレットとの関わりを思い出す。確かにキースの言う通りダレンは、マコレットを守れたことがなかった。しかも、一回はマコレットを目の前に撃たれたのにダレンは何もできずに放心状態だった。
「ダレンお前は、あいつに助けられたことはあったかもしれないが、あいつを守れたことはないだろ。その点、俺はあいつを何度も助けている。」
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