もう一人のドリームナージャ10(ブラックバレンタイン編)

□第2章 静かな挑発
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数日後4人は、久しぶりにフランスの首都パリに来ていた。以前来たときよりも町はどこか明るかった。
「久しぶりのパリだー!」
マコが声を張り上げる。それを見てナージャが微笑む。
「本当ね。それにしてもマコのお父さんがフランス人かもしれないなんて・・・偶然ね。」
「偶然?」
「ええ。私のお父さんもフランス人だったの。」
「へえそうだったんだ。偶然ね。」
ナージャとマコはお互い見つめ合いながら言った。それを後ろの方で見ていた双子の入る隙間はどこにもなかった。
「なんかこうしているとナージャとマコは本当に仲がいいね。」
「まったくだ。おかげで入る隙間がない。」
キースが少し不機嫌そうに言った。それを見たフランシスがふと思ったことをキースに言った。
「兄さん・・・まさかナージャに嫉妬しているのかい?」
フランシスからの突然の問いかけにキースは一瞬転びそうになった。
「兄さん!」
「大丈夫だ。それにしてもなんでおまえはそう無神経なことを言うんだ。」
ときどき、キースはフランシスが生まれつきの天然であることを恨むことがあった。フランシスは、自分と違い相手を和ませたり、笑顔にさせるような雰囲気を醸し出していた。一方で、フランシスは時々天然さゆえなのか爆弾発言をすることがあった。もちろん本人は無自覚だったため、責めようがなかった。
「え・・・そうかな?僕はただ感じたことを言っただけだけど。」
フランシスが正直に言うとキースは、やれやれといった感じの態度を取った。
「フランシス・・・本当にお前は天然だな。」
「え?」
キースは、フランシスに言ったがやはり本人がぜんぜん自覚なしだった。まあ、持って生まれた性格だからどうしようもないことだけど。
「それより、彼女の父親がどういう人物なのか手がかりとかあるのかい?」
フランシスがキースに聞くとキースは首を横に振った。
「まったくない。あの後、マコレットから手紙を貸してもらって俺なりに翻訳してしたんだが・・・これと言ったことは書かれていなかった。」
「へえ・・・そうなんだ。でも、なんとなく手紙の内容は分かったのかい?」
「ああ。だいたいはな・・・内容としては、マコレットが大きくなった時に気を付けてほしいことや自分はどこにいてもマコレットのことを思っているというような内容だった。だから、これと言って父親がどんな人物であるとか・・マコレットの家族についてのことは良く分からなった。」
それを聞いてフランシスがふと笑顔になる。
「どうした?」
「え・・よかったと思って。」
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