もう一人のドリームナージャ9(パープル・アイ編)

□第11章 交渉の行方
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マコたちが屋敷につくほんの数時間くらい前のことだった。キースは、フランシスから今回の作戦について聞いた。その作戦を聞いてキースは、本当にうまくいくのか疑問だった。第一この作戦の一番のキーマンに当たる人物が協力するという保証はどこにもない。それに、どう考えても今回の交渉人は、フランシスではなく自分であることがキースには考えられた。
「本当にその作戦でいくのか?フランシス正気か?」
「ああ。」
フランシスが自信たっぷりにいう。
「でも、確かにあいつがやつらの悪事を掴んで、それをネタにできたら・・・いい商売だと思うかもしれないが・・・。第一、あいつがどこにいるのか分からないだろ。それにおまえいつあいつのことを知ったんだ?」
キースがフランシスに言った。しかし、フランシスは笑顔で答えた。
「その心配はないよ。対象人物の居所はもうつかめている。幸いこのドイツにいるらしいしね。あいつのことは、少し知っていたよ。だって、父さんが金を借りていた相手だったから。それにキースが何回か会っていることも知っていたよ。」
「・・そうだったのか・・。でもな・・・そんな奴に頼るなんておまえどうかしたんじゃないのか?」
キースが、そういうのも無理もない。まさか、自分ではなくフランシスからあいつの名前が出てくるなんて夢にも思わなかったからだ。
「ナージャを救うためなら手段は選らばないさ。それに今はただのフランシスだし・・・家のことは考えないで行動できる分あの時よりも身軽さ。」
フランシスが言うと、キースはため息をついた。
(意外とこいつのほうが俺よりも曲者かもしれないな。ナージャのためになら俺も命をかけていたが・・・フランシスの場合もしかしたらナージャのためなら悪魔に魂を売ってしまいかねないな。まったくもって、普段生真面目な人間ほど、いざとなったときの行動は恐ろしい。)
「分かった。おまえがそこまで言うならこの方法にかけて見るとするか。だが、この方法が成功する確率は、今の段階で非常に低いぞ。」
キースが作戦について指摘する。しかし、フランシスは何の問題もないと言わんばかりの顔をしている。
「それは、大丈夫さ。彼だって、何度かキースにあっていうるんだから変なことは言わないだろうし。それに、あいつにとって悪い話ではないだろ?」
「確かにそうだが。それでいいのか・・・。」
キースが珍しくフランシスの言うことに押され気味だった。いつもなら立場が逆なためかキースは少々気乗りしない部分も多かった。
「お金のことなら兄さんが気にすることはないよ。全部僕が自由に使えるものだから。それに、こんなときに使わないでいつ使うんだい?」
それを言われて、キースはなにも言えなくなってしまった。たぶん、キースは、普段のフランシスならこんな行動はとりたくないだろうと考えた。しかし、ことは一刻を争う。実際、マコレットとナージャが、自分たちが助けに行くまでに安全という保障は何もない。
「分かった。じゃあ、奴を探さないといけないな。それにうまく話をまとめないと、あいつだってこの話に乗ってこないからな。」
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