もう一人のドリームナージャ3(操られた貴公子編)

□第10章 心の闇
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会場では、主催者であるウォール伯爵とその御曹司であるダレンが挨拶をしていた。会場の人々は拍手をしている中で、ナージャは探しても見つからなかったマコの居所を聞き出そうと挨拶が終わるのを今か今かとダレンを待っていた。挨拶が一通り終わると、ナージャはダレンめざして歩みよった。頭の中では、キースに一人で行動するなという言葉が響いていたがそんなこと気にしていたらマコを助けられないと思っていた。
一方のダレンは、まだ会場に来ていないマコを心配していた。
(迎えにいくべきだったな。でも、マコレットは嫌がっていたしな。)
そう考えていたところにダレンを呼び止める声がして、声がするほうを見るとそこには、マコレットに瓜二つの少女が立っていた。
「君はいったい?」
ダレンがそういうと、ナージャは今にも怒り出しそうな怖い顔をしてダレンに詰め寄った。
「ダレン・ウォールさんですね。マコレットはどこですか。私、彼女を探しに来たんです。」
「マコレットを?」
ダレンがいまいちナージャが何者かが分からないため、返事をどう返してようか迷った。
「君は誰なんだ?」
そうダレンが問いかけるとナージャは、ダレンをまっすぐ見て言った。
「私は、ナージャ・・・ナージャ・プレミンジャーです。」
ナージャは普段好んで使わないプレミンジャーの名を名乗ったそうすることでダレンと対等の立場に立って話せると思ったからだ。すると、ダレンの顔色が変わったと思った瞬間突然スイッチがはいったようにダレンの声色が変わった。
「ははは。まさか自分からプレミンジャーの名前を使うなんて。やっぱり貴族になりたいんだな。お嬢さん・・・いや、ナージャ・プレミンジャー。」
そういうと、ナージャの腕を掴んだ。ナージャは、ダレンの様子がおかしいと思ったが、何がどうなっているのか分からなかった。
「ナージャ会いたかったよ。だって、君の心を奪うように命じられていたからね。」
その声をもう一度聞いてナージャは、その声がシャドウドールの声であると分かった。そして、捕まれた腕を離そうと必死に抵抗するがナージャの力ではどうにもできなかった。
「さーて、お嬢さんの心をいただきましょうか。」
シャドウドールがナージャの体に触れようとした瞬間ナージャの頭上から何かが降ってきた。
「ナージャ!!」
そういって抱き付ついた。その瞬間に掴まれていた手が離れた。ナージャはびっくり仰天だった。だって、頭上から降ってきたのはなんと探し回っていたマコレットだったからだ。
「マコ!!」
ナージャとマコは嬉しそうに再会を確かめあうために抱きしめ合った。すると、もう一人頭上から降りて来た人物がいた。
「ナージャもマコレットも再会を確かめあうのは後にしろ。」
その人物をよく見たナージャの顔がこわばった。
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