*キン肉マン
□私の子猫ちゃん
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「いらっしゃい、待ってたぜ」
家の入り口付近に彼は居た。わざわざ私を待ってくれていたようだ。そんな彼の心遣いが嬉しいのと、しばらく会えなかった事もあり 彼に駆け寄ってギュッと抱き締めた。
『ブロッケンジュニアさん、会いたかったです!』
体が大きな彼は、私がいきなり抱き締めてもよろけることは無く。反対に逞しい腕で力強く私を抱き締め返してくれる。
「俺もだぜ、アサリに会いたくてウズウズしてた。」
『えへへ…』
「じゃあ、行こうか。」
『あ、そうだったね。』
門を潜れば 綺麗に揃えられた芝生や色とりどりの草花が一面に広がるなかに、ひときわ大きな屋敷がみえる。何回も来たことがあるはずなのに 立派な場所はやはり少し緊張してしまう。
はぁ、本当に立派だなぁ…。
そういえば今日はなんの用事か聞いて無かったっけ。 私に歩幅を合わせて歩いてくれる彼を見上げる
『ブロッケンジュニアさん、今日は一体どんな用件で?』
「ん?ああ、オヤジが一緒にお茶でもどうかって言うからさ。多分前に来た時にアサリの事気に入ったんだぜ。」
『ブロッケンマンさんが?』
「うん。珍しいだろ?」
ブロッケンジュニアさんのお父さん、つまりブロッケンマンさん。
見たことはあるけど喋ったことはあまり無い…。怖いイメージがあったけど、結構良い人なのかな?
「アサリ、着いたぜ」
考え事をしているうちに、目の前にはいつのまにか私の3倍程はある大きな扉があった。ブロッケンジュニアさんが扉を開いてくれれば、映画さながらの広間が現れる。
彼と一緒に広間に入れば、彼とよく似たブロッケンマンさんが私の手の甲にキスをして笑顔で向かい入れてくれた。
「やあ、よく来てくれたね。」
初めて見るブロッケンマンさんの笑顔に少しドキッとする。
『い、いえ!こちらこそ誘ってくださってありがとうございます」
「いや、私の勝手な都合だ。ゆっくりしていってくれ。」
『はい!』
ふたりで会話をしていると、隣にいたブロッケンジュニアさんが私の手を取りぐいっと引き寄せる、見上げれば彼の表情は何処と無く怒っているようにも見えた。
「オヤジもアサリもそろそろ良いだろ。ほら、行くぞ。」
「ふっ…ジュニアよ、私にヤキモチでもやいたのか?」
「ぐ…チゲぇよバカ」
「ジュニア、父親に向かって馬鹿だと?」
今にも火花が飛び散りそうなふたりは睨みあったまま動かない…。
ここは私が止めないと!ふたりを刺激しないように言葉をかける。
『は、早くお茶しましょ!ブロッ
ケンジュニアさん、ブロッケンマンさん!』
「そ、そうだったな、ごめんアサリ。」
「すまない、見苦しい所を見られてしまったな。」
『いえ…。』
「それでは、お茶しようか。」
私と彼とブロッケンマンさんの三人で長い廊下を歩き始めた。