*キン肉マン
□黒い悪魔の一日
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「あぁ〜…つまんねぇ。」
季節は春 天気は雲ひとつない快晴 今日は土曜日
子供にとってこれ程の遊びに絶好な日は無いのだが、どうやら顔に穴が空いた黒い悪魔にとってはとても暇な日らしい。
ペンタゴンに「公園にでもトレーニングしに行ったら?」と言われて来てみたものの、なんせ子供が遊具で遊んでいるせいで何もできない。ブラックホールは公園のベンチに座り子供を眺めながら、腕組みをしてうとうとしていた。
(眠ぃ…。)
『ねぇねぇ、おじさん!』
「うぉっ!?」ビクッ
いきなり話しかけられて目が覚めたブラックホールの目の前に、大きな目をした幼女がいた。
幼女のアサリは穴の空いた顔に特に驚きもせず ブラックホールじっと見つめる。
「な、何だよ。」
『あのね、おじさん。あそこにある風船とって欲しいの!』
「風船?」
幼女の指差す方向を見ると、頭上の木の上に黄色の風船が引っかかっていた。取れない事はないが、
悪魔超人が人助けってのはどうも似合わない、でもまぁちょうどいい暇つぶしにはなるか…。
「まぁ、取ってやるけどよ おじさんって呼ぶのやめろよな。俺にはブラックホールって名前がちゃんとあるんだからよ。」
『ぶらっくほーる?マンホールみたい!私はね、アサリって言うの!』
「おまえなぁ…。人がせっかく助けてやるってのに はぁ…」
何だこいつはなんて思いながら
よいしょと立った アサリは立ち上がったブラックホールを見上げると目を輝かせて 両手を挙げた。
『たかいたかいして!』
「はぁ?何でだよ⁈」
何で俺が父親みたいな事しなきゃなんねぇんだよ!柄に合わなすぎるだろ!?
『ぶらっくほーるさんがおっきいから!』
足元にいるアサリはニコリと笑った。ブラックホールはアサリをみて一瞬黙り込んで考えたが視線を頭上の風船へ戻した。
「いつかしてやるよ、今はとりあえず風船だろ。」
『う…うん!約束だからね!』
「分かったよ。」