書物‐弐‐

□年下の天使
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………ついに来てしまった。泥門高校!
ここに妖一と栗ちゃんとむっちゃんがいるのかぁ。
今朝メールしたら、部室にいる、って帰ってきたけど……部室、どこ?
とにかく中に入ろうとリュックの肩ひもを握り締めて歩を進める。


「ねぇ…あれ、麻黄中の制服じゃない?」

「ほんとだ。…新入生かな?」

「結構可愛いじゃん」

「お前、彼氏いるか聞いて来いよ!」

「やだよ、お前が行けよ!」


んー……、やっぱ制服だと目立つか。
かと言って泥門の制服持ってないから変装も出来ないし、私服だと逆に目立つし……。
あ、やば…先生に見つかった。


「ちょっと君、麻黄中の生徒さんだよね?ここに何の用かな?」

『えーーっと……あの…』


しまった。見つかった時の為の言い訳考えてくんの忘れてたー!!
どうしようどうしようどうしよう…………あっ、そうだ!!


『あのっ、蛭魔先輩に呼ばれて来たんですけど…』

「っ!!!ひ…蛭魔君ならっ…アメフト部の、部室にいるんじゃないかな!?じゃ…ごゆっくり……」

『え、あ…はい…』


………………すっげー!!妖一の名前出しただけですんなり入れちゃった!!
高校生になってまで教師脅すとかどんだけ外道なんだ(笑)
…あ、部室の場所聞きそびれた…。


『校内の案内図ないかなー………あ、あった。…なんだ、やっぱ外にあったんじゃん……つか面積でかっ』


校内を適当にウロウロしてたら案内図を見つけて部室の場所を確認出来た。
よし、行くか!愛しのダーリンの元へ!



― ― ―



『……俺、国間違えたかな?いつ国境超えた?カジノ?ここ学校じゃなかったっけ?』


ようやく目的地に着いたは良いけど、これだよね?部室……。
頭の中は疑問符でいっぱいだ。パンクしそう。誰かタスケテクダサイ…。


「ん?…まきか?」

『…?あ!むっちゃん!!』


中に入ろうかどうしようか悩んでたら後ろから聞き覚えのある声に呼ばれた。
振り向くと大工姿のむっちゃんが工具箱を担いで立っていたので、嬉しくて思わずダイブ!


『久しぶりーむっちゃん!』

「ホントに久しぶりだな、前より大きくなったか?」

『うん!身長少し伸びたんだよ!』

「そうか、良かったな」


抱き着いた俺の頭をむっちゃんはいつも優しく撫でてくれる。
まるでお父さんに撫でられてるみたいで大好きなんだぁ。


『あっねぇ、むっちゃん。……これアメフト部の部室?』

「あぁ」

『………違法カジノじゃない?怖いオジサン達とかいない?』


俺は本来の目的を思い出して、むっちゃんに抱き着いたまま恐る恐る聞いた。
チキンの俺には確認する術がなかったから…。


「いねーよ、お前の旦那はあの中だ」

『え、嘘マジ?』

「マジだ」

『えー………開けたくない……むっちゃん開けて』

「はいはい」


部室だかカジノだか分からない建物に向かうむっちゃんの後ろに隠れて着実に近づいていく。

ガラガラッ……

引き戸が開かれたと同時にむっちゃんの後ろにピッタリと隠れる。中見るの怖いし!


「おぅ、邪魔すんぞ」

「あ、ムサシさん!どうしたんですか?」


………………ん?少年の声!?


「あぁ、蛭魔にお客さんが来てるから案内して来たんだ。…ほら、おっかないオジサンなんていねぇから出てこい」

『っ………』

「ヤーー!可愛いー!」

『っ!!』


女の子までいるの!!?
想像とは遥かに違いすぎて頭の中はパニック状態。


「……まき」

『!!…あ……』


何があっても決して忘れる事の出来ない聞き覚えのあるハスキーボイス。
金髪で耳には4つのリングピアス。
男とは思えないほど透き通った白い肌に綺麗な緑色の瞳……。
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