書物‐弐‐

□うまい酒とイイ男
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『えーー!!
リコ、もう帰っちゃうのー?』

「うん、ゴメンね!
今度女子会しようね!」

『絶対だかんねー!!?』

「じゃあね!
日向君と鉄平、まきの事よろしく」

「あぁ、この酔っ払いの事なら心配すんな」

「気を付けてなーリコー」

「うん!
まき、あんまり飲みすぎちゃ駄目よ?」

『わーっとるわい!』

「じゃーね!」

『ばいばーい!』


今日は元誠凛メンバーでの飲み会。
他の連中は明日が早いからと帰ってしまった。

二次会には木吉・日向・まき・リコの4人だけ。
一次会でセーブしていたまきは今はすでにべろべろに酔っぱらっていた。
そしてリコは終電で帰ってしまって残りは木吉・日向・まきだけになってしまった。


『…あ"〜…………おかわりっ!』

「飲みすぎだ、ダァホ」

「まきは本当に梅酒が好きだな」

『うん!だって美味しいじゃん!特にソーダ割が一番だね!』

「さっき調子に乗ってロック飲んでたろ…」

『んにゃ?そうだったかや?』

「なんでなまんだよ…」


なまりのない地域に産まれたはずのまきの発言に思わず日向はツッコミをいれた。


「まきは酔うとよくなまるぞ?」

「………………地方の言葉なんか言われたら解読出来ねーぞ、俺……」

『順平っ!!』

「あ"?」

『ヒザマズキタマエ』

「なんで片言なんだよ!」


この酔っ払いめんどくせー、と思う。彼女だが正直酔うと面倒である。


「まきは親分にでもなりたいのか?仕方ないな……ほら、これでいいか?」

『うむっ、良かろう!』

「ははぁ!」

「何素直にやってんだよ木吉!つーか親分になりたいってなんだよ!」

「酔うと気分が良くなって大きくなった気がするだろ?
多分それだ」

「……意味分からん」


何故彼氏である自分には分からず木吉には分かるのか。
それを思う度に分からない自分にイライラする。


『分かれや、ダァホ!』

「あ"ぁ?んだ酔っ払い!」

「まぁまぁ、ケンカは良くないぞ?」

『鉄平ー!順平がいじめるー!!』

「いじめてねぇよ!!」

「日向も酔ってるんだろ……。ほら、水飲め……まきも、そろそろ帰るぞー」

「クソっ……」

『えーー…もぅ帰るのー?』

「あぁ、帰るぞー」

『………………もう少し……』

「……じゃ、あと一杯だけだぞ?」

『わーーい!!』

「……甘やかすなよ木吉」

「仕方ないだろ、日向にいつも苦労させられてるしな!
今日ぐらいはいいだろ?」

「っ!……お前は姑か何かか!」


図星をつかれ、とりあえず反論する。


「姑ではないが、親代わりにはなってると思うぞ?」

「ケッ、どの面さげて言ってやがる」

『このツラづらぁー!あははは!』

「親父かテメェは!!」

「どーどー、日向」

「俺は馬じゃねーー!!!」


木吉は会計を済ませタクシーを呼び、日向とまきが同棲しているマンションに帰った。

べろべろに酔っぱらっているまきをおぶり、日向の手を引いて部屋に入る。
まるて遊び疲れた子供を連れて帰ってきた母ちゃんだ。


「日向は風呂に入ってこいよ。俺はまきにしじみの味噌汁飲ましたら寝かせるから」

「悪いな木吉……毎度毎度…。本当は俺が世話しなきゃいけねぇのに…」

「良いんだよ、俺と日向の仲だろ?
それに、そんなにフラフラじゃまきと共倒れになるしな」

「…………すまねぇ」

「気にするな!」

『ぐぅ〜…ぐぅ〜…………ふがっ!…………………ん?………あ?』

「………………お前マジでなんなんだよ。
本当にオッサンみてーな奴だな」

『オッサンとは失礼な。
こんな美女さ捕まえといてぇ、おめぇさんしづれいにも程があんべや!』

「…ほらまき、味噌汁飲め。そしたら寝ような?」

『はい、ごろーさん!』

「いつから稲垣吾郎になったよ木吉」

「クスッ……さぁな」

『…………飲んだー』

「ん、歯磨こうなー」

『おー……』


酔っ払いを木吉に預け、日向は風呂に入り酔いを覚ます。
シャワーの当たる感覚が心地良い。


「木吉、あがったぞ。お前も入っちまえよ、風呂。
どうせ明日は仕事ねぇんだろ?」

「あぁ、そうさせてもらうよ」

「…………まきは?」

「もう寝てる」

「そうか…」


歯を磨きながら、明日になったら二日酔いがどーたらこーたらとまきが騒ぎだすんだろうなー、とぼんやり考える。

部屋に行くとまきがすやすや寝息をたてて眠っている。


「……………ったく、酔っても良いから甘えるんだったら俺にしとけよ…ダァホ」


独り言を呟き、まきにキスをして日向も眠りにつく。

それをこっそり見ていた木吉はほっとした。
やっと日向も素直になった、と。
二人の邪魔にならないように別の部屋に布団を敷き眠った。

後日、3人で二日酔いに苦しみしじみの味噌汁が手放せませんでしたとさ。



‐終‐

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