書物‐弐‐

□楽しんでこーぜ
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『鉄平ぇー、起きろー…』

「ぉ……おぅ……起きるぞぉ……」

『……………………………………………ぶふっ』


現在時計は朝の6時5分を回ったところだ。
何故こんなに早く起きているのか。
それは昨日の夜まで遡る。


‐‐‐


「なぁ、まき」

『ん、なーに?』

「お前が見たがってた映画、明日からやるみたいだぞ?」

『え、うそマジで?』

「あぁ、ほらここ…」


そう言いながら木吉はまきに新聞を見せる。


『……あ、ホントだ!
いいなー…………行きたいけど、今金欠だからなぁ……どうしよう……』

「映画ぐらい、俺が連れていってやるぞ?」

『え、マジ!?
あっ………でも、そしたら鉄平のお小遣いなくなっちゃうし……』

「映画のチケット代くらい、大したことじゃないさ」

『はぅー!!神様仏様鉄心さまぁー!!』

「ははっ、でも“鉄心”は止めてくれ」

『ごめん…鉄平大好きー!!』

「おぉ、俺も好きだぞー」


まきは嬉しくて木吉に抱きついた。
木吉もまきに喜んでもらえて満足していた。

何を思ったのか、6時頃に起きて予定を決めつつ出発しようと言う話になった。

そして、冒頭に至る。


‐‐‐


『……………………鉄平ぇさーん、朝ですよぉー』

「おー………」

『いや起きなさいよいい加減…』

「うん、起きる………起きる、から……」

『……………………………リコの鉄拳……』

「っ!!?」

『おはよう、鉄平』

「え………あ、おはよぅ…………?」

『リコならいないよ』

「え……いないのか?本当に??」

『いないってば、どんだけビビってんのよ』

「だって、リコの鉄拳って物凄く痛いんだぞ!?
昼間ならまだしも朝一で受けるとなるとかなり辛いから…」

『そりゃー、気合い入れるためにリコだって頑張ってるんでしょうに』

「まぁ…な」

『早く顔洗っといでよ、シャキッとしてこい!
そんで予定決めて映画行こう!』

「あぁ、そうだな」


魔法の言葉を言ったお陰で木吉を起こす手間が省けた。
眠気が覚める程、リコの鉄拳は恐ろしい。


『俺さ、ショッピングモールも寄りたい!』

「おぉ、確か映画館と隣接してるんだっけ?」

『そうそう。
今バイト行く用に着てるパーカーがかなりボロが来ててさぁ、危ないから新しいパーカーとか欲しいんだよねー』

「あぁ、あの水色のか?」

『かなり元は取ったからね、買え替え時だよ』

「そんなに着たのかー。………買ったのいつだっけ?」

『中1の時、俺の誕生日に買ってくれた!』

「もうそんなに経つのか!」

『うん!………………あ"っ』


思い出話をしている最中、まきは大事な事に気がついた。


「ん?」

『お金無いんだった……………』

「あ、忘れてたな」

『蛇の生殺しだぁ………』


まきはガックリと肩を落とした。
木吉は慰めるように頭を撫でる。


「まぁまぁ、また買ってやるよ」

『そんなぁ、悪いよ…』

「気にするな、困った時はお互い様だろ?」
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