書物‐弐‐
□きっかけ
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《温泉と良薬》の続きです。
『ん…』
早朝、まきは目を覚ました。
それはビュティと朝風呂にゆっくり浸かるため。
滅多にできない贅沢を2人でしようと昨日話していたのだ。
支度をしてふとボーボボに目をやると布団から大きな体をはみ出さしてぐーぐーといびきをかいて寝ている。
『ふふっ、まるで大きな子供みたい…お風呂行ってくるね』
小声で呟きよだれを垂らしている彼の頬に触れるだけのキスをする。
むにゃむにゃと言いながらボーボボは掛布団を抱きしめて再びいびきをかき始める。
まきはボーボボの頭を撫でてビュティとお風呂に向かった。
― ― ―
「『はーきもちー!』」
まだ少しばかり気温が低いこの辺ではうっすら霧が立ち込めていて。
わずかな太陽の光に照らされ幻想的な風景が見渡せる事が出来て2人の気分は最高潮に達した。
『こんな贅沢…なかなかできないよねぇ』
「ねぇー…あ、そうだまきさん」
『ん?』
「まきさんって、ボーボボと付き合ってるんだよね?」
『うん、そうだよ』
「どうして付き合ったの?なれそめとかすごい気になる!」
『そんなに?…まぁ、あんなの見てたらそりゃ気になるか…』
「教えて!おねがーい!」
『あはは…いいよ、教えてあげる』
「やった!」
『ボーボボと出会ったのはね、5年位前かな?
俺がまだ15とかだったはず』
「へえーそんなに前なんだ」
『そ、国が滅ぼされっちゃって自棄になりながら毛狩り隊を倒してる時にたまたま会ったの』
「…そうなんだ……まきさんも…」
『ん、ボーボボと同じ国の生き残りってので気が合って一緒に旅をし始めたんだ』
「へぇー」
『いつ頃だったかなぁー…ボーボボに告られたの』
「えっ、ボーボボから告白したの!?」
『うん、意外でしょ?』
「全然そんな風に見えないよ!?あの人!!」
『まあね(笑)』
「ど…どんな感じで?」
『確かね……一緒に旅をし始めて…2年くらい経った頃だった…かな?
旅をしてる途中に毛狩り隊に襲われてる村を見つけて助けたの。
そこの長老にこの村の先に願い事を言うとその願いが叶って一生幸せになるって言われてる岬があるって聞いて。
そこで叫びながら告られた』
「叫びながら!?」