書物‐弐‐
□コウノトリの贈り物
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「犯人は……お前だ!」
「いただきます」
― ― ―
『弥子、今日も大活躍だね!』
「いや…私じゃないから」
「フム…今日の謎も大した事はなかったな。やはりマキを喰って…」
『表で言うな!』
「あーなんかお腹空いてきちゃった!」
『いや、いつもじゃん』
「そう?」
「フン、食い意地の張ったゴミムシめ」
「…はいはい」
『確かに、俺もお腹空いたなぁ』
「珍しいね、まきがお腹空いたなんて言うの」
『そーかな?』
「ウジムシ菌がうつったか?嫌だぞ?我が輩のマキがこの様な貧相な微生物になり下がるなど!」
「そんな菌があってたまるか!!」
『…演技がなんか胡散臭い……』
俺と弥子はネウロと別れてご飯を食べに行った。
別れ際に「夜までに帰ってこなければその場で犯す」と釘を刺された。
…過保護を通り越して最早悪意である気がする。
「何食べるか迷うねー」
『最近出来た食べ放題の店行かない?かなり大きいって噂の』
「お、いいね!行こ行こ!!」
― ― ―
「はぁぁぁー!食った食ったぁ!」
『ご馳走様でしたー』
開始1時間で食べ放題は終了。
美味しそうな料理が綺麗に盛り付けられていた皿の数々はすっからかん。
……周りの視線が痛いな…。
シェフは涙を流してその場にへたり込んでいる。
勿論、その日のうちに弥子は出禁を食らいました。
『…まぁ、分かってたけどね』
「また…出禁の店が増えてしまった……はぁぁ…」
『弥子の胃袋ってどこまで入るんだろうね』
「んー、分かんない」
『ま、俺も食べれたからいいけど』
「今日は珍しくたくさん食べてたよね」
『んー、なんかお腹空いちゃってたんだよねー…なんでだろう』
「不思議だね」
『妊娠してたりして』
「マジで!?」
『いやいや、冗談だから』
その時は本気でそう思って弥子と笑っていた。
でも、まさかそれが現実のものになるとは思わなかった。
2ヶ月、生理が来ない事に気づかなくて3ヶ月が経とうとした時、やっと気づいた。
我ながら馬鹿すぎる。
『どうしよう……いや…まさかね……ハハ…』
「どうした、マキよ」
『うえ!?…いや…何でもない…』
「ほう…我が輩に隠し事とはいい度胸だ」
『いだだだだ!!あ、頭やめっ…いだだだ!!』
中指の第二関節を両側からぐりぐりされて自白を強要された。
「さぁ、吐けマキよ…何を隠している」
『いったぁ………もしかしたらね……妊娠した、かも…』
「……妊娠…?…子を宿したのか?」
『多分……』