書物‐弐‐

□酔いつぶれ
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夜の11時を少し過ぎた頃、まきはソファーでテレビを見ながらお茶を飲んでいた。
恋人であるカカシはアスマと紅とガイの4人で飲みに行っている。


『…遅いなぁ』


布団を敷きながら壁にかけてある時計を見ると、時刻は0時を過ぎていた。
カカシはまだ帰ってこない。
心配しつつも明日の朝ごはんの仕込みをしていると、玄関からドンドンと音が聞こえた。


『?』

「おーい、まきいるかぁー?」

『…やっと帰ってきた』


待つのに疲れてきたころに、アスマとガイと二人に抱えられてうなだれているカカシが帰ってきた。


「よぉ、悪いなこんな夜中に…起こしちまったか?」

『いや全然…、つか…それ何?』

「見りゃ分かんだろ、お前さんの旦那だ」

「んー……」

『……物凄く酒臭いんですけど』

「スマン、俺が煽ったせいで飲ませすぎてしまったらしい」

『はぁ…勘弁してよもぅ…』

「ス、スマン…」

『…まぁいいや、そこ置いといて』

「あとは頼んだ」

『はいはい、おやすみ』


支えが無くなり、玄関でべったりと倒れているカカシは静かな寝息をたてている。
まきは酔いつぶれたカカシを一旦放置し風呂の用意をしてから揺すり起こす。


『カカシー、起きてー』

「んー………んぅ?」

『お風呂行くよ?』

「まきー?」

『そうだよ』

「へへ…まきだぁ」

『…』

(なんだろう、今可愛く見えたぞ…?)


きっと気のせいだ…、そう思いながらカカシの服を脱がしていく。
カカシはされるがままだ。


『はい、立って』

「俺ね、酔っちゃった…えへへ…」

『…はいはい』


無邪気に笑うカカシに全く起こる気にならず、手を引きながら風呂場へ誘導する。
時折寝るのを起こしつつ体を洗い、服を着せる…酔っ払いを洗うのに20分はかかった。


『…はぁ…疲れたぁ…』


やっとの思いで布団へ運ぶ事が出来た。
いくら力があるとはいえ、自分より大きい成人男性を寝たまま運ぶのはなかなかの重労働だ。
口布をしていない素顔は酔っているせいなのか、頬が少し赤く若干幼く見える。


『…まぁ、たまにはいいか』


カカシは最近、激務が続いていてしっかりと休む事が出来なかったから今は丁度良い休息になったと思う。
実はまきがカカシを酔わせろとアスマ達に言ったのだ。…結果は想像以上だったが。


「ん……まき…」

『?…寝言か』


隣に潜り込み、まだ酒臭い恋人を眺めながら眠りについた。



― ― ―



「あー……頭いたぁい…」

『そりゃそうでしょ、あんだけ飲めば…はい水』

「ん…ありがと…」

『今日はゆっくり休みなさいよね』

「…はーい」

『俺買い物してくるから、良い子にしててよ?』

「はいはい、いってらっしゃーい…」


普段とは違い少し弱弱しいカカシ。
たまにはこんなのも悪くない。



−終−

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