書物‐弐‐

□小さい天使
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修行に今日も精を出すロック・リー。その様子を木の上から静かに見守る恋人のまき。
上忍と下忍、10も年が離れている2人が何故付き合っているのか……。
それは、リーがアカデミー生の時に臨時の講師として配属されたまきに一目惚れをしたから。



― ― ―



「えー、今日から暫く臨時の講師としてアカデミーに来られた上忍のまきさんだ、皆きちんと言う事を聞くんだぞ?」

『よろしく』

「…まきさん……」


大きな声で挨拶をする子供達とは違い、リーは何か胸の奥で温かいものを感じた。
それは日に日に熱くなり、時々心臓が苦しくなる。


『…リー君?』

「っ!!は、はい!!」

『大丈夫?顔赤いけど』

「だっ…大丈夫です!!」

『無理しないでね?』

「はい!!」


ポンポンと頭を撫でられただけでドキドキと心臓が大きく脈を打つ。

この人の傍にいても恥ずかしくない位に強くなりたい…。

その想いが、リーの体に力を与えてくれた。
雨の日も風の日も、体調が悪く体の自由がきかなくてもまきのためなら何でもこなせた。
物凄く好きだから。



― ― ―



「……ん、まきさん!」

『…ん?』

「お疲れですか?こんなところで寝てるなんて珍しいです」

『…いや、そんなに疲れてないよ』

「本当にですか?無理してません?」

『大丈夫、ただ昔のリーを思い出してただけだから』

「…昔の僕?」

『そ、まだ小さくておさげがチャームポイントだった可愛いリーをね』


脇に手をやり持ち上げて膝の上に座らせると少し顔を赤くするリー。
頬を撫でてやると少しくすぐったそうに身をよじって笑う姿が愛らしい。


『まさかアカデミーの教え子から花を貰って告白されるなんて思ってもみなかったよ』

「…一目見た時からまきさんが好きだったんです。凄く緊張したんですよ?」

『真っ赤だったもんねぇ、これでもかってくらい…くくっ』

「!わ、笑わないでください!!」

『ふふっ、ごめんごめん』

「もー…」


頬を膨らませて怒る姿が可愛くて抱きしめずにはいられない。
自分より小さいけれど確かに鍛え上げられている体を抱きしめると、頬ずりをしながら抱き着いてきた。


『……なんか用?カカシ』

「あら、バレちゃった」

「カ、カカシ先生!」

「やぁ、リー君」

『気配消したって匂いですぐ分るよ』

「えー?俺体臭薄い方なんだけどなぁ」

『かなり臭い』

「え、酷い」

『…で、何の用?俺リーとの愛を育むのに忙しいんだけど』

「あっ…愛…」

「任務だよ」

『………チッ』

「お前が召集されるんだからかなりヤバいよ…今回」

『はいはい』

「まきさん…」

『いい子で待っててね、リー。すぐ帰ってくるから』

「はい…いってらっしゃい」

『いってきます』


サラサラとした綺麗な黒髪を撫でて小さな唇にキスを落とす。
まっすぐリーの瞳を見つめ、もう一度頭を撫でて門へ足を向ける。
必ず帰ると、心に今一度誓いながら。



−終−

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