書物‐弐‐

□男らしい彼女
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待機所に来ると、まきが寝ていた。
長椅子に横になって腕を組んで寝ている。しかも眉間に皺を寄せて。


「…もうちょっと女らしく出来ないもんかね」


彼女の眉間を突くと、余計に皺が寄った。
俺とまきは付き合ってる。けど、一部の人間以外その事を知らない。
そのせいかどうか知らないけど、まきは男女問わず人気で、プレゼントを貰ったり告白をされたり…。

木の葉の里だけでなく他里にも人気が広まっていてわざわざ来る輩が後を絶たない。
まぁ、彼氏である俺としては面白くないわけで…。
まきは任務の時、俺と同じ口布をしている。
普段は外していて、口布をしている時としていない時のギャップが人気らしい。
特に女子に。


「…結構寂しいのよ?」


彼女の口布をずらしてキスをする。離すと、目が合った。


「っ…起きてたの?」

『まぁね、誰かさんが突いてくれたおかげで』

「最初っからじゃない」

『ヤキモチ?』

「……まぁね」

『ヤキモチ妬きのカカシ、嫌いじゃないよ』

「そりゃどーも」


まきは少し体を起こして俺にキスをしてくれた。
それだけで心がスッキリする。…単純だね、俺も。


『…で、誰が女らしくないって?』

「…やっぱ聞いてたのね」

『当たり前でしょ』

「…寝方」

『寝方?』

「そ、なんかオジサンっぽいから」

『失礼な』

「まぁ、そんな女が好きだけどね」

『……あっそ』


隣に座った俺の膝の上に頭を乗せるまき、俺はいつも通りイチャパラを読む。


『時間になったら起こして』

「はいはい」


俺と一緒の任務の前、まきは必ず俺の膝枕で寝る。これは付き合う前からやっている事。
俺しか知らない彼女の姿。
普段は男らしいと言われている彼女の人前では見せない貴重な姿。
この時ばかりは、優越感に浸らずにはいられないな。


「…独り占めできるって、良いな」


寝ているまきの頭を撫でながらそんな事を呟くと、自然と口元が緩むのが分かる。
俺って、こいつに関しては意外と独占欲が強いのかもしれない…。



−終−

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