書物‐弐‐

□どうか受け取って
1ページ/2ページ

『ぎゃぁぁぁぁぁ!!来るなぁぁ!!!』

「ぎゃぁって…そんな色気のない声出してると、良い男が寄り付かなくなるよぉー」

『そんなのいらないって言ってるでしょーがぁぁぁ!!!』

「待ってよーまきー。俺の愛を受け取ってよー」

『だーかーらぁ!いらないってーのぉぉぉ!!』


木の葉の里に、1人の忍の悲鳴が響き渡る。


「…?ねぇ、ネジ、リー。あれってまきさんじゃない?」

「ん?あぁ、そうだな……なんか様子がおかしくないか?」

「後ろの方にいるのはカカシ先生でしょうか?」


『なんで追ってくんのよぉー!!?』

「そりゃぁまきが逃げるからでしょー?」

『逃げたくもなるわぁぁぁ!!!』


「まきさーん!」

『!!』


2人の常人離れした動きを見ていた3人。
何やらただ事ではないと感じ、テンテンは手を振り呼び掛けてみた。
それに気づいたまきは素早く向きを変えて3人のもとへ駆け寄る。


「どうかしたんですか?」

『いやっ…ちょっと変態に追われててね』

「「変態…」」

「まきさん!今日は僕と修行する日ですよ!
僕、とても楽しみで中々寝付けなかったんです!」

『そっか。悪いけど、先に行って体温めといて!ネジとテンテンも良かったらおいで!じゃっ!!』

「はい!お気をつけて!」


リーの頭をわしゃわしゃと撫でると、まきは瞬身でその場を後にした。
カカシはあーあ、と言いながら一度追うのを止める。


「カカシ先生、なんでまきさんを追ってるんですか?」

「ん?なんでって…これを着てもらうため?」

「「げっ……」」

「なっ…!!」


テンテンとネジは青ざめ、リーは茹でダコの如く顔を真っ赤にした。
カカシが手にしているモノ…………それは、白のナース服だ。
しかもミニスカートの。


「ウフフ。これ…ガイには内緒ね?」


不気味な笑みを浮かべながら3人に呟くとカカシも瞬身を使って姿を消した。


「まきさんも大変だな…」

「うん…無事だと良いけど…」

「っ……ハレンチですぅ―!!」



― ― ―



『来るな変態!!』

「変態って、それ酷くない?彼氏に向かってさぁ」

『うるせー!何が彼氏だ!!そんなもん着せようとする奴は彼氏とは言わないっつーの!!』

「頼むから着てよー。折角テンゾウに買ってこさせたのにー、勿体ないじゃーん」

『後輩に何させとんじゃぁー!このスケベ!!』

「えーヒドーい、俺泣いちゃうー」

『勝手に泣いてろ!!』


まきとカカシがこのやり取りを開始してから既に2時間が経過していた。
お互いまだまだ息は上がっていない。


『そもそも!なんで俺がそんなもの着なきゃいけないのよ!!
身長いくつあると思ってんの!?178cmあんだよ!!?
そんなデカいのが着たってギャグにしかなんないでしょ!?
紅にでも頼めばいいじゃんよ!!俺は怒んないから!!』

「紅が着たって意味ないよー。アスマに殺されるし、彼女であるお前が着なきゃ興奮しないのー」

『死んでも嫌だー!!!』


大声での会話を聞いた里の皆は笑っていた。


「…何を騒いでいるんだ、あいつらは」

「さぁ?なんでしょうか…」

「ブヒュッ」


火影邸から見ていた綱手とシズネは頭の中が疑問符でいっぱいになった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ