書物‐弐‐

□ごめんなさい 2
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まきが口を利いてくれなくなって、もう8ヶ月になろうとしていた。
顔を合わせる事はないけれど、お弁当は毎日作ってくれているみたいで。
朝起きると、テーブルの上に置いてあって…それを見るとちょっと安心する。
でもやっぱり…抱き締めてキスとかしたいよね。
俺…枯れちゃうかも…。


「………」

「よぅ、カカシ」

「ん?…あぁ、なんだ…アスマか」

「なんだとはなんだ」

「別に…」

「…まだまきに口利いてもらえねぇのかよ」

「うん…」

「はっ、アイツも頑固だな」

「まぁ…俺が悪いんだけどね…」


アスマの吐いた煙草の煙が静かに空に消えていくのを見ると、なんか虚しくなるなぁ。
特に何も考えずにボーっと歩いていると、まきと紅が喫茶店で楽しそうに話をしていた。
俺は何故か反射的に建物の陰に隠れてその様子を…って、なんか悪い事してるみたい。


「あんた、もうどのくらいカカシと口利いてない訳?」

『んーとね、8ヶ月くらいかなぁ…』

「ふーん。随分と長いわね…あの馬鹿、何をしでかしたの?」

『ちょっとねー。
人前ではー!言われたくない事をー!言われたもんでねー!
俺の大事な大事なリーにもー!バッチリ聞かれちゃったしねぇー!!』


……あ、怒ってらっしゃる。
というか、俺に向かってしゃべってるね…明らかに…。
気配消してるのにねぇ…………ちゃんと謝ろ…。



夕方頃まきの家に行き、好きなお菓子を持って土下座しに行きました。



「本当にごめんなさい!」

『…………………もう…人前であんな事言わない?』

「言わない!絶っ対に言わない!」

『………ん!』

「!!まきー!」


顔を上げてを見ると、彼女が少しムッとしつつ両手を広げていた。
俺はたまらず腕の中にダイブ、約8か月ぶりのまきだぁ……久しぶりすぎて涙出そう…。
なんだかんだまきも寂しかったようで、俺の頭に顔をグリグリしている。
…今度、リーにお礼言わなきゃ。



−終−

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