書物‐弐‐

□年上の白衣のマドンナ
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最初はほんの些細な興味からだった。




朝練が終わり、各々着替えている時糞ザルが糞チビと話しているのが耳に入ってくる。


「なぁセナ、今日新しい保健室の先生が来るらしいぜ?」

「そうなの?」

「女の先生みたいだよ?」

「え、なんで栗田さん知ってるんですか?」

「さっきたまたま見かけたんだ。見かけない顔だったから新しく赴任してきた人なのかもって」

「へぇー」

「どんな人なんだろうなぁ…ひょっとしたらとてつもない美人かもしれね…っ!
いやいや、俺はまもりさん一筋っスよ!!」

「あはは、モン太は相変わらずだね」

「グダグダ言ってねーでさっさと着替えて教室に行きやがれ糞ガキ共!!!」


ダララララララララララ!!!


「ひぃぃぃぃぃっ!!」

「ムッキャァァァー!!」


チンタラしてやがったから銃をぶっ放してやった。
部室から全員追い出し、静かになったところでデータ処理をする。
…新しい教師か。弱み探し出して新たに奴隷を増やすのも悪かねぇ。
俺はパソコンを閉じると保健室へと向かった。


「では先生、今日から宜しくお願いします」

『はい、こちらこそ宜しくお願いします』


保健室前に着くと中から糞校長とその新任の奴の声が聞こえてきた。
俺は音を立てずに中へ入る。


「あ…あとですね先生、うちの学校に“蛭魔妖一”という学生がいるのですが……」

『?…はい』

「その蛭魔君には絶対に…絶っっっ対に!気を付けてくださいね?
彼はただの学生ではありません、あれは悪魔です!!!」

『…は?悪魔?』

「とにかく!!なるべく…いや絶対に関わらないようにしてください!!」

『……はぁ………、あ』

「それでは、私はここで………っ!!ひぃぃっ!!!」


糞校長は俺の存在に気づくと悲鳴を上げて逃げていきやがったが、女の方は怖がる様子がねぇ…。


『…君が蛭魔妖一君?』

「だったらなんだ」

『別に、先生をやるからには生徒の顔を名前は覚えておかないとね』

「ほぅ……仕事熱心なこって」

『それより、授業はどうしたの?』

「あんなもん受けるだけ無駄だ」

『うわー…やな事言うねー。俺への嫌がらせに聞こえるわ』

「あ?テメェ頭悪ぃのか」

『“テメェ”じゃなくて“先生”って呼びなさい』

「なんだっていいだろ」

『よくないでしょ』

「やかましいと男にモテねぇぞ」

『お気遣いドーモ。別に彼氏なんか欲しくないよ』

「枯れてんな」

『煩い、青臭いガキに言われたくないね』

「おぉー、おっかねぇおっかねぇ」

『クスッ…何それわざとらしい…ハハハ!』

「…」


大した会話はしていないのに、俺はこの女に興味を持った。
大体の奴は俺の姿を見るなり怖がって目ぇすら合わせようとしねー。
けど、この目の前にいる女はちっとも怯えるそぶりを見せねぇし、普通に話しかけてきやがる。
…面白れぇ。


「オメェ、俺の女になれ」

『…………は?あんた正気?』

「狂ってるように見えるか?」

『全然』

「ケケケッ!じゃ、決定だな」

『おいこら、勝手に決めつけないでよ。俺に男を選ぶ権利は?』

「ねぇな」

『即答ですか…』

「ケケケケッ!」


女は呆れた顔をしながら机に向かって作業をし始めた。
その姿をなんとなくソファーに腰掛けながら眺めてみる。
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