Never Ending world

□episode @
1ページ/4ページ

《まもなく電車はーーに到着します……》


いつも通りの朝……
通勤電車に車内アナウンス。


そんな私は、通勤途中の日課にもなっているあの場に訪れるため、バックを漁る。



「確か……もうすぐだったよね!夜中にもカウントはチェック済みなのだ♡」



そんな事を思えば画面のTOPを開いた。


【399999】そんなカウントの文字が目に入ると 恐る恐るもう一度ホームに戻った。



【400000】キリ番おめでとうございます。貴女が記念すべき40万ビーナスです♡


いつもの見慣れた画面とは明らかに違うTOP画面に、私の心臓はドキンと早鐘を打つと……


理解するまで固まる事、数秒……



キリ番!?

40万……ビーナス……!?








「ええーーーっっ!?」


騒つく車内が、私の叫びと共に一瞬にして静寂が訪れた。


【どうしたのかしら……】
【なんかあの人叫んでる】
【見ちゃダメ……】


周りからノイズが消えた後、一斉に注目され突き刺さる視線……


「あ、すみません………」


頭を深く下げれば、顔から火が出る程、恥ずかしくなって……

肩身が狭くなった私は画面を開いたままドアの隅に身を縮こめた。

通い続けた◇Moon Crying◇……


密かに狙っていた40万キリ番を、まさかまさかで ゲット出来た事に自分が一番ビックリしてしまって、目をパチパチとさせながら画面を凝視する。


こまめには見ていたし、毎日通ってはいたけれど こんなにタイミング良く実際 踏めるだなんて思ってもいなくて、驚きのあまり声を荒げてしまった私だったけど、言葉にならない嬉しさが、じわりじわりと、こみ上げてきた。


だけど、通勤電車の中でまた叫ぶことも、注目を集める事も出来るわけもなくて 必要以上の真顔を死守しながら心の中でガッツポーズを決めた。


「(……っしゃああ!!😤💪🏻)」


気を抜くとニマニマしてしまいそうで、窓から見える景色に気を集中させていた。


普段、あまり通勤電車の中で流れる風景や、看板をまじまじ見る事はないけれど、こんな時に限って目につく看板がさらに私に追い打ちをかける。


【美味しい沢庵】


ただでさえ、ここが自宅だったなら箸が転がっても きっと面白い状況なのに、沢庵で土方さんが簡単に連想されてしまえば 頬が上に、上に、上がってきてしまいそうになる。


「(笑うなーおこめ!ここは我慢だ!)」


そう自分に暗示をかけ、我慢すればするほど、笑ってはいけないと思えば思うほど、ニヤニヤしてしまいそうで、少しも歯を見せられないこの状況は正直 新手の拷問かと思った。


そんな中、電車を降りれば 逸る気持ちを抑えながらも私は足取り軽く職場へと向かった。
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ