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□宝石はバスタブに隠して
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「麦わらはそろそろ囚人図書室に入れられた頃だろう。オペラの兄貴のボーガンはキクぜ?尋問後利用価値がないと分かりゃママの判断次第だが、まずそのまま死刑だろうな」


身体を包むお湯の温かさとは対照的に、背筋が凍るような言葉がナミの耳元に囁かれる。


「麦わらさえ死ねばお前らの一味は解散、残るはママの手を煩わすこともないただの一個人。ーーおれの言ってることが分からないか?お前の身体も、命も、何かと天秤にかける価値なんてないってことだ。敗者が交渉など笑わせてくれる」


いよいよ震えを抑えきれなくなったナミの肌に泡を滑らせながら、残酷なほど優しい声でクラッカーは告げる。


「つまり、お前がここにいるのは、単なるおれの気まぐれだ」
「っ」


無意識に逃げようと立ち上がりかけたナミだったが、簡単に腰の上に戻されてしまう。互いに裸身、尻に当たる誤魔化しようのない雄の感覚に、脳裏が絶望一色に染まった。
ルフィの命と引き換えだと言うのなら、女の操など投げ打っても構わない。しかしあくまでも敗者は敗者、そんな陳腐な脅し文句でこちらに希望を持たせる気はさらさらないようだ。生かすも殺すも気分次第、ただの陵辱だと宣言された上で、一体どう心を保てと言うのか。


「……いっ、や!!」


ただ無様にお湯を散らすしか出来ないナミの手首を片手で封じて、クラッカーの右手が水面に浮かぶ白い膨らみを掬い上げる。予想以上の重量感をたっぷり楽しんでから、赤く尖った先端を摘まむと同時に震える首筋に噛みついた。


「ああッ!」


漏れた悲鳴は浴室内を反射して、男をますます昂らせる。
長い舌は首筋から耳朶を這い、今度は両手で胸を揉みしだく。湯船の中というのも手伝って、泥を落とした白い肌が面白いように上気していくのにクラッカーはにやりと口角を上げた。やんわりと撫で回していたかと思えば急に激しく掴んだり、先端をこりこりと弄っていたかと思えば強く爪を立て引っ張ってみたり、マシュマロのような乳房をねっとりと時間をかけていじめ尽くす。耐え切れず時折零れる喘ぎや、肌に残った戦闘の跡が、生来の嗜虐性を煽っていく。


「まだ触ってねェんだが……どうもお湯ではなさそうだな」


その言葉と、固く閉ざされていた筈の場所が男の指を一本容易く呑み込んだという事実に、ナミはついに堪えていた涙を零した。
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