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□レディ・ウォッカとダービー・ダンス
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「なっ、誰が!こんな強欲女と!!」
「ハァ!?こっちだってあんたみたいな野蛮人お断りですから!!」


誰が野蛮人だコラァ、本当のことじゃないバーカと口汚く罵り合っていても、頬を染め視線を彷徨わせながらではただの痴話喧嘩だ。なんとなく関係を察して面白くないイチジは、ずらりと並ぶ手付かずの酒樽を見て口角を上げる。


「なら、その女を賭けて勝負だ」
「あァ!?」
「貴様が先に潰れたらナミは貰っていくぞ」


さりげなく、さりげなく。度が強いものばかりをゾロの前に並べる。巨人族ですらあっという間に酩酊するような強い酒を。


「おれと飲み比べようなんざいい度胸だ……あ、や、別にっ!お前の為とかじゃねェからな!?おれが飲み足りねェだけで!!」
「わ、分かってるわよ!私も飲むし!」
「では、乾杯といこうか」


酒飲みの酒飲みによる酒飲みのための闘いの火蓋が切って落とされた。
……それから、程なく。


「な、何故だ…貴様ら、ウワバミか……」
「まだまだイケるわよ、ねぇ?」
「寝酒にもなりゃしねェ」


イチジ 脱落




「……こんばんは、ごめんなさいね。弟たちがご迷惑をかけたみたいで」
「あ、おねぇちゃぁん…」
「今の誰の声かしら」
「本人の名誉の為に伏せておくわ。あらサンジ、元気そうね」
「さっさと三人まとめて持って帰ってくれ…おれを捕まえにきたらしいが」
「あんたたちが酔い潰れている間に逃げられちゃったって言っとくわ」


レイジュはその細腕でぐだくだの弟たちを引っ掴み自船に投げ落とすと、ぐるりと辺りを見回し、ナミに目を止めると合点がいったとばかりににっこり微笑んだ。


「弟たちがまた来るとしても、サンジ、目的はあなたじゃなさそうね?」
「……ナミさんのことは諦めろって言っとけ」
「ごめんなさいね、可愛い仔猫ちゃん。欲しいものはなぁんでも手に入れて来たから、あのコたち諦めるって言葉を知らないの」


近々また会いましょうねと不穏な言葉とウィンクを残して、ゆっくりと大きな船は消えていった。


「ったく……てめェが男に色目使うからこういうことになんだ」
「いつ誰が色目使ったのよ!!」
(((「おれが守ってやるから心配すんな」くらい言えばいいのに……)))





レディ・ウォッカとダービー・ダンス
(人の恋路を邪魔する奴は)





END
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