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□レディ・ウォッカとダービー・ダンス
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「あ?誰だお前」
ナミの隣にどっかりと座り込んだ男に、ニジは不機嫌な声を出した。
「その三本刀…”海賊狩り”か」
「海賊狩りィ?何でもいいけど今おれがナミと飲んでんだ、邪魔すんな」
「ナミと飲んでいるのはおれだニジ」
「ってか、緑髪っておれとかぶって」
「「引っ込めヨンジ」」
会話の最中もそれぞれ手を止めることなく、どんどん空き瓶が積み重なっていく。一番体格の良い末弟が蔑ろにされ落ち込んでいるのを見兼ねて、ウソップとフランキーが声をかけた。
「オイ、元気出せよ!こっちで一緒に飲もうぜ」
「ジェルマの船ってすげェのな、ちょっと詳しく聞かせてくれよ」
「む?我らの科学力の結晶だぞ、そんな簡単には……いいか、まずあの船は水陸両用で」
ヨンジ 脱落
「…しっかし、揃いも揃ってぐる眉なんだな。アホコックそっくりだ」
「一緒にすんな!あんな落ちこぼれと……つか、そうだサンジ!あいつどこ行った!?」
「おーう、呼んだか」
トレイいっぱいにおつまみを運んで来たサンジは、まずナミの前に色とりどりの料理を丁寧に並べ、甲斐甲斐しく取り分けてからニジにも料理を差し出した。
「お前飲み過ぎ、少しはメシも食え」
「てめェまだそんなことやってんのか!王族が奉仕などするなと何度言ったら……っ畜生なんだコレ!美味ェ!!」
「そういやお前甘いモン好きだったよな。チョッパー用に飴細工とチョコレートでデコレーションケーキ作ったんだが…食うか?」
「…チョコレート……(正直酒飲み過ぎて口直しに甘いモン食いてェ…)……そんなに言うならな!仕方ねェからな!食ってやってもいいけど!!」
ニジ 脱落
「……情けない弟たちだ」
「結構飲めるじゃねェか」
「フン、これしきの量」
サングラスの奥にその髪と同じく燃えるような闘志を隠して、イチジはなんでもない顔をして杯をあおる。まだまだ酔う気配を見せないゾロとナミを見比べて、忌々しそうに眉根を寄せた。
「貴様ら、恋仲なのか」
「「ブッッ!!」」
飲んでいるのは水だとでも言いそうな顔をしていた筈の二人は同時に酒を噴き出し、たちまち顔を赤らめる。
実はこの二人、どっからどう見ても両想いでありながら、まだくっついていなかったのだった。