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□CATch Me If You Can
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「……猫を、飼いてェなァ」
「…………は、猫、…ですか?」


主の唐突な呟きに、グラディウスはフォークとナイフの手を止めて、困惑げに反応した。
ファミリー揃っての夕食の真っ最中である。特別、動物の話題が上っていた訳ではない。


「性別は雌だな、これは譲れねェ。顔は美人であるに越したことはねェ」
「…はい」
「毛の色は白だな…いや、なにか珍しい色でもいいな。ふわふわの長毛種なら文句無い」
「……はい」
「性格はこう…簡単には懐かねェ、じゃじゃ馬だと完璧だ。それをなんとか手懐けて、最終的にはおれにべったり惚れさせるのが理想だ」
「……若………」


小動物に癒しを求めるなんて、若は相当お疲れなんですね、とグラディウスはゴーグルの下で溢れる涙を拭った。自分にそんな弱音を吐いてくれたことに感激する意味合いも含めて。


「べへへへ、ドフィ、そりゃお前の女の趣味じゃねェか〜〜?」
「フッフッフッ!そうかもな」


何事もなく他の話題に移って行く食卓で、ちょっと真面目過ぎる部下は今の会話を心に深く刻み込んだ。






「ナミ〜、まだ買うのか?」
「だって上陸するの久々じゃない!大きな街だし、見たいものがたくさんあるのよ」
「おれ、もう飽きたよ〜……」


後日、ところかわってとある夏島。背中に荷物を山と積まれて、その上立派な角にも幾つもの紙袋をぶら下げられて。獣型のチョッパーが控えめに文句を垂れる一方で、身軽なナミはイキイキとこれから買うものを指折り数えている。


「スカートでしょ、サンダルでしょ、あと、新しい定規と羊皮紙、ヘアブラシにボディーソープ、それから、この島暑いからビキニも見たいなぁ」
「まだそんなにあるのか!?」


自分のこととなると途端に財布の紐が緩くなる(とはいえ値切るのは忘れないが)航海士のショッピング熱にチョッパーが目を回しかけた頃。
偶然そこに通りかかったのが、任務の為この島に来ていた、例の真面目過ぎる男である。
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