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□王道ロマンス?
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冒険イコール人助け。
人助け+厄介ごと=冒険、と言った方が正しいかもしれない。とにかくそんな図式が成立するほど、ルフィは行く先々で誰かに頼られ、またその願いを叶えてゆく。「メシをおごってくれたからこいつはいいヤツだ」なんて超理論で、しかし驚くべき精度で正義と悪を嗅ぎ分けて。
そして、何故だか助ける対象における王族の割合がやたらと高いので、人助けはイコール国助けになる。
……いや、決してそれが悪いと言ってるんじゃないんだけども。




広くはないが狭くもない。
天蓋付きのベッドに、毛足の長い絨毯、家具はマホガニーだろうか。派手さはないものの、さすがは一国の王女様の暮らす部屋。調度品のひとつひとつが値打ち物だわ、ときらりと瞳を光らせたナミは、黒一色に身を包んだいかにもな泥棒ルックーーではなく、絵本から飛び出たようなドレス姿だった。妖精の羽根を何枚も重ねたような、ふんわりと上品なシフォン。ジョーゼットの身頃は美しい身体のラインを際立たせるが、不必要に肌を晒すことはない。




吹けば飛ぶような、小さな小さな国のおはなし。
隣国同士の絶え間ない諍いにいつも怯えるその国の、高い高い塔の上、世にも美しいと噂のお姫様が静かに暮らしておりました。その国を挟んで大国ふたつ、一挙に姫と国を手に入れようと、遂に戦争が始まったのです。


(……ホント、リアル絵物語だわ)


「ロビンでもいいじゃない?万が一敵に攻め込まれた時、攻撃力高い方が」
「撹乱は得意でしょう?それに、お姫様は絶世の美女なのよ」
「なら尚更……」
「ナミにしか出来ないわ。こんなに愛らしくて美しいんですもの。ほら、ドレスも…似合うわ。本物のお姫様みたいよ」


半ば強引に押し切られ、ルフィたちが戦う間、そして『本物』を安全なところに逃がす間、影武者を演じることとなった。実際敵がこの高い塔に侵入する可能性はほとんどないし、綺麗なドレスを纏って束の間のお姫様ごっこを楽しんでいればいいだけだから、悪い話じゃない。




「ごきげんよう、お姫様」


……高い高ーい塔の上よ。窓からお客様が来ることなんて、想定してないのよ?
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