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□B
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「あああぁっ!はっ、あ」
「……声も我慢しねェように躾けられたか?随分イイ声出せるようになったな。それとも、よっぽどおれじゃ不満だったってのか」
「そんな、こと、あんっ!」


ある訳無いのに。
ずっと大好きだったのに。
ただ抱かれているだけで、幸せだったのに。


「………あいつは、お前の全部に触れたのか?ここも」
「や、あっ」
「ここも、」
「あっ!んぁ、」
「ここにも?」


食まれた右耳に熱い息を吹き込まれる。鎖骨の窪みを舌がなぞって、右の突起を強く摘まれる。ゾロが見つけて、ローに開発された、特別甘く疼く場所。以前は小さく吐息が漏れるくらいだったのに、今ははしたなく中心をじゅんと濡らしてしまう。


「……クソッ!」
「ごめ、なさっ、あああっ!」


ゾロは舌打ちをして、激しく腰を打ちつけ始めた。奥に挿し込まれるたびナカがきゅうと締まって、男を離すまいとする。その刺激にゾロが眉間に皺を寄せ、呼吸を荒げるのを見て、涙が出た。こんな状態なのに、幸せで。
汚らわしいと、触れてももらえないかと思った。もう二度と、想いを伝えることも叶わないと思った。激しい嫉妬を見せられたことが嬉しかった。恋人だと、思っていてくれたことが、たとえ乱暴にでも求めてもらえたことが、ゾロに抱かれて今、最高に感じていられることが、心から嬉しかった。


「ッ、泣いて謝るぐらいなら、他の男に抱かれてんじゃねェッ……!」


湧き出る涙でゾロの顔がぼやけてゆく。ゴールドの三連ピアスが、スライドに合わせて視界の端でちゃりちゃりと音を立てる。お洒落とは無縁の腹巻マリモのくせに、どういう経緯でピアスなんて開けたのだろうと、圧し潰すように揺さぶられながら、くだらないことを考えた。


「はっ、随分余裕だな」
「ん、ふあ、…あ、」
「ずっとお預け喰らってたんだ、こっちはそうもたねェよ…!」
「〜〜〜〜ッ!!ん、あぁっ!?」


奥に熱い吐精を感じて、くったりと弛緩した身体が、また強い刺激に仰け反る。息つく暇も与えられずに、激しい律動が再開された。
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