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□A
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「ゲーム、って」
けたたましい警報音とともに、脳内で赤色灯が忙しなく点滅を繰り返す。二、三歩ふらふらと後退した先でぶつかったガラスの冷たさで、ひりつくような熱に侵され始めていることを思い知らされた。
「効いてきたか?」
面白そうに喉の奥で笑う男の、伸ばされた手に思わずびく、と身を竦めると、方向を変えたその手は落ちた小瓶を拾い上げた。
「即効性だ。なんせおれが特別に調合した媚薬だからな」
「どう、して」
「今からお前を抱く」
ちょっと散歩に行ってくる、程度のなんでもないことのように宣言されたストレートな欲望。だがその瞳は患者の容態を見守る冷静な医者のそれで、およそこれから行為に及ぼうとする男のものとは思えなかった。暗い、昏い、銀鼠の虹彩。
「理性を保っていられればお前の勝ち。薬に呑まれればお前の負け。魅力的なゲームだろう?さっさと負けを認めれば最高に感じさせてやる」
抵抗を紡ごうとした唇に、夜の獣は何の躊躇いも無く喰らいついた。
衣服は既に防御力を失っていた。ほとんど裸同然に剥かれた身体は数刻前と同じ体勢で、男の指を貪欲に咥え込んでいる。違うのは指の持ち主、合意の有無、それから。
「や、だっ、んぐっ」
無遠慮に掻き回されて、花が苦しそうに吐き出したのは前の男の名残だ。子宮まで辿り着けず、シャワーでも流し切れなかったそれらはローの指にねとねとと纏わりついて、引き抜いた勢いそのままにナミの咥内に突っ込まれた。独特の苦味と喉の奥まで塞がれるような苦しさに生理的な涙を浮かべると、口の端を吊り上げてまた男は笑う。
「そんなに惜しまなくても、コッチにはまた新しいのをくれてやる。……その前に、」
ナミの唾液で十分に湿った指が、また狭い蜜壺に挿し込まれる。精液を掻き出すだけだった機械的な往復運動が、意志を持って敏感な場所を探る動きに変わったことに、ぞっと背筋が凍った。