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□恋は鍵屋を嘲笑う
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「アンタたちの船長は頭がおかしいわ!!」


ローに見事なアッパーを喰らわし、船長室から逃げ出したナミは、ハートの海賊団の面々に泣きついていた。


「あー、船長ってルックスはいいし、どこに行っても女にはめちゃくちゃモテるんだけど……」
「恋愛に関してはほぼ素人だからな」
「なんで私なのよーー!!そしてなんでいきなり結婚!?いきなり子供!?」


もふもふに癒しを求めて顔を埋める。白クマは自分の肩口の毛が涙でびしょびしょになるのも構わずに、ナミの頭をよしよしと撫でると、のんびりした口調で言った。


「でもさー、キャプテン真面目だね。ナミのこと大切なんだね」
「……どういうこと?どこが?」


ペンギンがナミに温かいマグカップを持たせてやりながら、ベポの言葉の続きを引き取った。


「結婚すれば子供が作れるっていうのはさ、裏を返せば結婚するまで何もしないってことだろ」
「あー、なるほど。そんで、お互い離れても恋人同士なら不安だけど、夫婦になって子供もいれば繋がり続けられるってことか!」


シャチがぱちんと指を鳴らした。
確かに考えようによってはそうかもしれない。なにせ相手は海賊、しかもあの王下七武海サマ。対してこちらは海賊とはいえか弱い女の子なのだから、奪おうと思えば簡単に奪われてしまうのだ。サニー号に乗り続けたいというナミの意思を尊重してくれる分だけ理解があるというもの。さっき間近に見たローの整った顔を思い出して、ナミの心はぐらりと揺れかけたが、思い留まって紅茶を一気飲みした。


「いやいやいやいや、だとしてもいきなり結婚はないわ。やっぱり頭おかしい!医者呼んだ方がいいわよ」
「キャプテンは医者だよ?」
「……そうだったわね」


空っぽのマグカップにはぁー、と、たっぷりの溜め息がおかわりされる。そんな様子を見た面々は少し気の毒そうに、ナミに励ましの声をかけた。


「まあ、船長、ああ見えて一途だし」
「多分初めての恋だから、多少へたれな部分があるかもしれないけど」
「カッコイイから許してあげて」
「嫁に来い」
「……!?キャーーーッ!!」


突如現れたローにあっさり捕まっナミは悲鳴だけを残して消え、ハートのクルーたちは彼女の今後に幸多かれと願わずにはいられなかった。
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