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□fever
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愛とか、恋とか、そういう類の言葉は。
きっとこの人の辞書には、載っていないのだろう。
「…やっ、だめ、ロー……」
「…勝手に気持ち良くなってんじゃねェよ」
「だって……もう………!」
「………イキたい時は何て言うか教えただろ……?」
「ッ…!ロー……おねがい、イカせて……!!」
「……仕方無ェな」
そのまま強い刺激に飲み込まれて、私は悲鳴を上げた。
身体はまだ疼いている。
何度も達したというのに。
そしてその原因を、私は知ってる。
(……今日も、抱いてもらえなかった)
トラファルガー・ローは敵船の船長だ。今は同盟を組んでいるし、ルフィが彼をいたく気に入っているから、今後も余程の事が無い限り敵対関係になることは無いだろう。
だから、だろうか。
こんな曖昧な関係から、抜け出せずにいるのは。
仲間だと言い切ってしまえば、それ以上の発展は難しい。かと言って敵ならば、尚更ややこしい。
…そういう理由で、ローも私を相手に選んでいるのかな。
双方の船のクルーは、私とローがいわゆる恋仲にあると思っている。そうでなければ、お互いの船をこんなに頻繁に行き来する理由など無いと。
でも。
ローから、ただの一度だって「好き」だとか「愛してる」なんて言葉、聞いたこと無いのに。
「あ、ナミー!おかえりー!」
考え事をしながらものすごくゆっくり歩いたと思ったけれど、二つの船はいくらも離れない場所に停泊しているのだから、そんなに時間を稼げる訳も無かった。私の姿を認めた船長の、陽気なおかえりの声がなんだか辛い。
「……って、アンタどこに登ってんのよ!!」
「いてェーー!!」