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□オルゴール・ナイト
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目を開けたら、やけに明るい。カモメの声が随分と響く。
ああ、良かった。今日もいい天気なんだ……のんびり出来そう。昨日ロビンが言った通り、いい1日になるかな。
今何時だろ、もう少し寝てても…


「……って、もう10時なの⁉︎」


いつもは7時くらいには起きるのに、やっぱり疲れてたのかな。それにしても、大体9時頃には皆揃って朝ごはんを食べるのに、誰も呼びに来ないなんて…あ、私、呼びかけにも気付かないくらい寝こけてたのかしら?そんなゾロじゃあるまいし。私が疲れてるだろうと思って、寝かせておいてくれたのかな……。


すっかり覚醒した頭でとりとめもなくそんなことを考えながら、急いで目に付いた服を被る。
うん、よく寝たおかげで、お肌はつやつや。髪をさっととかして、靴を履いて。私は航海士なんだから、天候が安定してても油断は禁物。きちんと針路も確認しなきゃ!


「あら、ナミ、おはよう。起きたのね」


たっぷりの陽射しとともに、女部屋にロビンが入って来た。


「おはようロビン!ごめんね、すっかり寝坊しちゃった。皆はもう朝ごはん食べたんでしょ?」
「…ナミ、今日はそれを着るの?」
「え?何か変?」
「いいえ、とても可愛いわ。でも」


適当に選んだTシャツとショートパンツ姿の私を、頭から爪先までじっくり見渡したロビンは、にっこり微笑んで言葉を続けた。


「今日は、これを着て頂戴?」






「……えーと、着せ替え人形ごっこ?」
「ふふ、もう少しだから」


訳も分からぬまま、椅子に座らされて、普段はあんまりしないお化粧を施されている。椅子の背もたれから生えた手は器用に髪を巻いたり結んだり。視線を落とせば、派手過ぎず地味過ぎない、綺麗なワンピースに包まれた私の身体。


「ダメよ、下向いちゃ」
「…はい」


勝手に漁られたクローゼットの中から、お気に入りのヒールを仕上げに履かされて、鏡を見ることも許されないまま、私は部屋から連れ出された。
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