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□アムネシア×ディスペプシア〜remind〜
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「んっ、ふ、んぅ」


くぐもった甘い声と、いやらしい水音がかすかに響く、船長室。
大袈裟に包帯が巻かれたまま枕に押しつけていた頭をなんとか起こして、うっすら涙の滲む瞳で、ナミは自分を背後から貫く男を睨んだ。


「ロー、……も、やめ」
「まだ足りねェ」


男は一向に止まる気配を見せない。少なくとももう既に三回は中に出したというのに、だ。
こちらはただでさえ血が足りなくてへばっているのに、しかも怪我の一因はこの男にあるというのに、どうして余裕綽々で行為に没頭していられるのか。
急に腹が立ってきた。


「……やめてって、言ってるでしょーー!!」
「……お前、この状況からいきなりおれを叩き落とすとは……」


情けない格好でベットから振り落とされたローが、不満気な表情を隠そうともせずまた戻って来て、スプリングがぎしりと軋む。


「安静にしとけって言ったのはアンタじゃない!なのに何してるのよ!?私頭怪我してるの!わかる?け・が!」
「だから頭をあんまり揺らさなくて済むように、後背位でヤッてんじゃねェか……」
「そういう問題じゃなーーーい!!」
「……それに、一応包帯は巻いているが、怪我自体は軽いもんだ。ほんの何針か縫っただけだし、数日安静にしてろって程じゃねェ」
「はあ!?だってアンタ、安静にして治ったら仲間の所に返す、ってゾロに」
「嘘だ」
「えーーーー!?」


ナミの絶叫に、ローはうるさそうに眉をしかめる。


「……デカイ声出すな、傷に響く」
「さっきから言ってることが支離滅裂よ!」


興奮の為か、快感の余韻か。赤らんだ美しい顔に汗で張り付いた長い髪を、ローの指がゆっくり掬う。その手はそのままナミの胸に降りてきて、硬く立ち上がっている蕾に触れた。


「んっ、まだ話の途中、」
「怪我は確かに思ったより軽症だった。安静に、というのは今負った怪我より、記憶の安定の為の配慮だ。それに……お前をまだ帰したくねェのが、本音だ」


抱き寄せた胸元に幾つもの花を散らして、ローがぽつりと呟いた。
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