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□恋敵ホロウ
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最初こそ、やれ部屋がカワイくねェだの、もっとふかふかのベッドがいいだの、ココアとベーグルを持ってこいだの騒いでいたペローナも、いざ旅が再開されると、サニー号の雰囲気に瞬く間に馴染んだ。
ペローナがうちの船でもっともお気に召したのは、マスコット的存在であるチョッパー。他の面々は、というと、ルフィはある日、おやつのマカロンを横取りして嫌われた。ウソップにはスリラーバークの因縁で近寄ろうとしないし、サンジ君にはしつこく話しかけられてご機嫌ななめ。ロビンとフランキーはさすが大人の対応というべきか、当たり障りない程度の付き合い。ブルックとは一時、呪いの唄を歌うとかで気が合いかけたが、いつものパンツ見せてください攻撃で完全に敵認定したようだ。
とくれば、意外とさみしがりやの彼女が一緒にいたがるのは私かチョッパーだが、いかんせん航海士と船医、基本的には忙しい。
だからペローナは、必然的にゾロにべったりなのだ。


「二年ぶりなんだから、もう少しこう…ムードってものがあるじゃない?」
「おいおい、お前にもそんな乙女チックなことが言えたんだなぁ」
「うるさい!大体ゾロもゾロよ!こんな可愛い恋人がこの二年の間、他の男に奪われてないかとか普通気にならない?ロビン!」
「ふふ、ゾロはあなたを信頼しているのよ、きっと。それに彼の性格からして、わざわざナミと付き合ってるなんてあのコには言わなかっただろうし…」


ロビンと久々のガールズトーク。割と的確なアドバイスをくれるウソップも、この時ばかりは女子会メンバー。いつも優しく話を聞いてくれる二人に、つい愚痴が溢れてしまう。


「あーあ、そもそもなんで私、あんな男と付き合ってるんだっけ?」


机に突っ伏して、子供のようにじたばたする。


「デリカシーないしすぐ迷子になるし、万年寝太郎だし、夏でも腹巻きだし筋トレ馬鹿だし、マリモなのにー!」
「…ねえ、文句があるなら直接本人に言ってみてはどう?」
「こんなこと言ったら私、ブッた斬られちゃうわ」
「……まあお前ならゾロもそんなことはしない、と信じたい…が、巻き添えを喰う前におれたちは避難する」
「あとは頑張ってね?」
「え?」




そそくさと立ち去る二人以外に、何やら恐ろしい気配が……




恐る恐る顔を上げると、果たしてそこには、額に青筋を浮かべた剣士が仁王立ちしていたのであった。
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