Book2
□ラベンダー
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「……なァ、最近ナミさん、変だと思わねェ?」
珍しく全員が揃った、男部屋。たわいない会話の切れ目に、煙草の煙をふぅ、と控え目に吐き出した男が問うた。いち早くそれに反応したのは、自慢のパチンコを弄り回していた男。
「変、て、どのへんが?」
「アーー、なんかこう、色々。例えば、最近やけに露出が少ない」
「そう言われりゃそうかもな……いっつも胸とか尻とかはみ出したような格好してんのになぁ」
「…オイ鼻、テメェ普段そんなこと思いながらナミさん見てんのか」
「ヒッ!なんだよ、サンジ君が振った話題じゃねェか‼︎」
「まあまあ、お二人とも」
ブルックが怒りの炎に包まれたサンジと、怯えるウソップの間に入る。
「確かに、私も思っていました。この暑いのに、せっかくの玉のようなお肌を隠されてしまって…」
「だろ?それだけじゃねェんだ、今日も彼女にケーキとお気に入りの紅茶をお出ししたんだが、」
「えーーー⁉︎なんだそれ、おれはそんなんもらってねェぞ!」
「黙れクソゴム。ナミさん、紅茶飲まなくてさ。『サンジ君、ごめんね?出来ればお水か…フルーツジュースがいいな』とか言うんだ」
「小娘がおめェにワガママ言うのは、いつものことじゃねェか?」
「いや、それがよ、ここんとこ紅茶もコーヒーも飲まねェんだよ。厚着してっから、さみィのかと思ってあったかいもの淹れてんだが」
「ヨホホホホ!お風邪を召した訳ではないんですね?」
「あの、皆には言うなって言われてたんだけど」
フランキーの鼻を押して変幻自在の髪型で遊んでいたチョッパーが、くるりと振り返った。
「ナミ、昨日洗面所で吐いてたんだ…。診察したら別に悪いとこはなくて、ナミはちょっと疲れただけよって笑ってたけど」
「オイオイ、大丈夫かよ」
「そういやよ…」
飲み干した酒瓶を傍らに放り投げて、ゾロが口を開いた。
「最近、誘ってもなかなか付き合わねェんだよな、酒。具合悪ィのか?アイツ」
露出を控え、身体を冷やさない。
健康的な飲み物を欲しがる。
吐く。
酒を飲まない。
「「「………まさか」」」
全員が顔面を蒼白にして、同じ結論に至る。
男部屋、パニック初日。