Book2

□ラベンダー
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「よーっ!遊びに来たぞー……ってあれ?なんだお前ら、元気ねェなァ‼︎」


朗らかさと人懐こさ全開でサニー号に現れた男は、ん?と首を傾げた。いつもなら飛びついて来る筈の彼の弟をはじめ、好意的に自分を迎え入れてくれていた男連中は挨拶もそこそこに、なんだかジト目でこちらを見てくる。




エースがナミと恋人同士になったのは、何ヶ月か前のこと。
最初は麦わらの一味もその意外な組み合わせに驚き、中には怒り狂った者もいたのだが、最終的には『何処ぞの馬の骨とも分からぬ輩に我らが航海士を奪われるよりは、船長の兄に任せた方がマシだ』ということになった。
なにしろエースはルフィと違って大人で、紳士的で、実際文句のつけようもない好青年だったから、ナミがそんな彼に惹かれたのなら、あたたかく見守ってあげよう。話し合われた訳ではないけれど、一味の暗黙の了解として、そういう結論に落ち着いたのだ。




…しかしそれは、男が本当に紳士的だったなら、の話だ。
大人といってもルフィと3つしか違わない彼は、まだ若く思慮が足りない部分もある。もしもナミの不調の原因を作ったのがエースだとしたら…というか、そうだと信じ込んでいる男たちは、話が違うぞとばかりにエースを見る。
勿論エースはそんなこと思いも寄らないから、アイツら変だな、と困り顔を出迎えてくれたロビンに向けた。それでなくても人の顔色を伺って生き抜いてきた彼女は、この船の男たちの短絡的な思考などお見通しで、くすくす笑うのだった。


「エース!」


響いた晴れやかな声に、呼ばれた男はぱっと相好を崩した。普段は着ない落ち着いたラベンダー色のワンピースを身に纏ったナミは、勢い良くエースの硬い胸に飛び込む。その様子はまさに『年上の彼の為にお洒落をした恋する乙女』のそれで、ロビンは一層笑みを深くし、男連中はますますジト目になる。


「暫くこの島に停泊するんだろ?今夜はナミを借りるからな!」


誰の了承も得ないまま、エースはナミを抱き上げて、あっという間にいなくなった。




「……ナミ、嬉しそうだったな」
「本当にエースが好きなんだなー」
「だぁァ、問題はそこじゃねェ!確かに二人を見守るとは言ったが、こうなったら話は別だ‼︎もしも本当にナミさんが、に、に、に……」
「妊娠してたら?」
「どーすんだよーーー‼︎‼︎‼︎」


男部屋、パニック二日目。
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