Book2

□チューリップ
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「…五体バラすぞ」
「えぇーーーッ‼︎‼︎⁉︎」


なんだか身の危険を感じて、紫を選ぼうとした指をそのまま隣の黄色にスライドさせたら、トラ男くんが恐ろしいことを呟いた。口元は笑っている…というか歪んでいるのだけれど、目が全然笑ってない。


(選んで欲しくないなら選択肢に入れなければいいじゃない…!)


恐る恐る、可愛らしい白いチューリップに手を伸ばす。


「それはもっと駄目だ……」


なんで怒るのよー!訳がわからない!
かよわい私に覇気を飛ばさないで‼︎


残りはもう、ピンクと赤だけ。
半ばやけくそで、投げやりに淡い色の花を指差したら、今度はあからさまに溜め息を吐かれた。


「まあそっちでもいいんだが…素直じゃねェな、お前は」


刺青に彩られた長い指が、優雅に一輪の花を摘み取る。


「おれのモンになれ」
「………は?」


ひら、と舞い落ちた、花束に添えられたカード。そこに示されたのは、それぞれの色が導く意味。
呆気にとられて見上げると、男は飢えた獣が舌舐めずりをするように、ぺろり、と乾いた唇を潤した。




居心地悪そうに咲いた可憐な花は、その舌のように真っ赤だった。





チューリップ
(愛の告白)





END


オレンジ…照れ屋
紫…永遠の愛
黄色…実らぬ恋
白…失恋
ピンク…愛の芽生え
赤…愛の告白
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