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□火を見るよりも明らかに
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「ハメやがったのか、あんたたち…」
先程から赤くなったり青くなったりを繰り返すエースは、恨めしげに目の前で笑う三人を見た。
「あら、人聞きが悪いわね。私たちはあなたが自分の気持ちに素直になれるように、少し、お手伝いをしただけよ?」
ブルックは、サンジに。『ナミさんの傍から離れないように』と。
フランキーは、ゾロに。『強引にでも小娘を連れ出せ』と。
そして、ロビンはウソップに。『とにかく煽って頂戴?』と。
「まァ、スーパー格好良かったぜ?兄ちゃん」
「こちらの胸が熱くなるような、魂の告白でしたね!私、熱くなる胸、無いんですけどー‼︎」
「ったく、おれたちまで利用しやがって」
「ルフィの兄ちゃんといえども、本当は他の男になんざ渡したくねェが…」
肩を竦めながらも何処か愉快気なゾロと、チッと舌打ちをして煙草に火を点けたサンジ。
「…あんな顔したレディを、放っておくもんじゃねェぜ?」
一世一代の告白をしておきながら、エースはナミの反応が怖くて、未だ顔を見られずにいた。サンジの言葉に、恐る恐る振り向いてみると。
耳まで真っ赤に染まって、両手で口元を押さえたナミの瞳から、大粒の涙が零れ出していた。
「うわ!ナミ、ごめん…!おれが変なこと言ったから…‼︎」
「…馬鹿」
「へ?」
「…嬉しくて、泣いてるの!」
外野の冷やかしの声も聞こえなくなる程、ボッと音を立てて燃え上がる炎。
あんなに飲み食いしてお腹が痛いのはどうしたのよ、こんなことしてる場合じゃないでしょ、と泣き笑いで言うナミに、痛かったのは腹じゃなくて胸だったのだ、とは言えず。
優しい熱で、その身体を覆った。
火を見るよりも明らかに
(…バレバレだった、ってことね)
(なァエースー!てことは、ナミはおれの姉ちゃんになんのかー⁉︎)
(……!)
(ぎゃー!あっちィー‼︎‼︎)
END