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□火を見るよりも明らかに
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「ナミは怒るとおっかねェがよ、何せ黙ってたらあの容姿だ、男どもが放っておかねェのよ。こないだも島で変な奴らに声掛けられててよ…」
「えぇェ⁉︎大丈夫だったのかナミは⁉︎」
「そこはもう、このキャプテン・ウソップ様が颯爽と「おれとゾロが近くにいて、ゾロが睨んだらすぐ逃げてったぞ」だーー‼︎おいチョッパー、人の台詞に割り込むな!」
「お、ゾロがナミんとこ行ったぞ」
「え?」


ルフィの声に振り返ると、今度は剣士が酒瓶を携えて、ナミに声をかけているところだった。


「あいつらも仲良いよなー」
「いっつも二人っきりで酒飲んでるもんなー」
「…いつも?二人っきりで?」
「あァ…つーかエース、火の勢いが強くなってきたけど…」


ちろちろと輝いていた火は、いよいよ本格的に燃え上がりつつあった。
そんなエースの姿が視界に入ったのか、ゾロがちらりとこちらに視線を送って。


にや。


口角を上げて、ナミの腕を、掴んだ。




「「「あぢーーーー‼︎‼︎」」」


燃える心が具現化された炎は、どうしようも無く熱くて。
傍にいた弟たちをも飲み込む勢いで、燃え盛る。


「ゾローーー!」
「あ?」
「てめェ、ナミの手、離しやがれ…‼︎」
「ちょ、ちょっとエース、どうしちゃったの?」


全く状況が飲み込めないでいるナミ。
鉄砲玉のように飛んで来て鋭い目付きで睨むエースに、ゾロはますます不敵な笑みを色濃くする。


「へェ…なんでおれがコイツに構うのが、そんなに気になるんだ?」


「……おれが、ナミを!好きだからだーーー‼︎‼︎」


船上に、ひときわ鮮やかな火柱が上がって。




「「「…ええェーーー⁉︎」」」


熱い告白を受けた女と、この船の船長と、何故か言った本人が、絶叫した。
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