それでも毒舌芸人が恋人です。

□実は優しくて
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仮眠したあと、また仕事を始めたがいつもよりは早く帰れそうだった。



まだ7時。



ヒロも今日はさっきの仕事だけみたいだし、早く帰ったら二人でゆっくりできるかな。



ーー私、もう仕事終わりそうなんだけど、何時頃帰ってくる?



ーーー飯食ってくけど、9時には。



あ、ご飯食べてるんだ。



早くないんだ。



私は仕事を余計に片付けた。



ヒロと同じくらいの時間に帰るため、会社を出て、駅まで歩いた。



そのとき…



「え、ヒロ?」



私はとっさに立ち止まった。



少し距離があったが、少し先の店から、ヒロが出てきた。



今日、一緒に仕事してたモデルさんと一緒に。



二人きりなんて、珍しいなあ…



彼女が明るい顔でなにか話すとヒロも笑顔を返す。



そして二人は一つのタクシーに乗り込んだ。



レシートとおつりを財布にしまう姿も、タクシーを止める仕草も、私といる時と同じものだった。


なんで、こんな子供っぽいことでちょっと落ち込んでるんだろう。



三十路のヤキモチなんて、気持ち悪い。



私は首を振ってまた歩き始めた。




そりゃ若くてかわいいんだから嫌な気はしないよね。



それにしても、本当に可愛かった。



素材はもちろんだけど、髪も服もネイルも、お人形と一緒でかわいくしてるのが仕事なんだから敵うわけない。



そんなこと気にしても仕方ない。




家に着くと、ヒロはもう帰ってた。




「ただいまー。」



そういえば、一方的に今日、2回ヒロを見たんだ。



「おかえり。るい、お疲れ。」




ヒロがすごい優しい声でそう言った。



「ありがとう。仕事片付いた。」



私はニコッと笑った。



帰ってきたばかりの様子のヒロが、ソファに腰掛けた。



「今日、ヒルナンデス見に来てた?」



「え、気づいてたの!?」



「いや、でも終わってから、ユメって人が言ってた。」



「あ、ああ!そうだったんだ。無理矢理引きづられて、邪魔したらあれだから隠れて見てた。」



「なんだ。やっぱ見られてたか。」



ヒロが頭を抱えた。



「仕事してるヒロかっこよかったよ?」



「…それは、嬉しいけど。」



私はヒロの隣に座った。



「最初の方がんばって声出して、お客さん盛り上げようとしてたとことか。」



「なにそれ、はず。」




こんな恥ずかしそうで嬉しそうな顔見れるのは私の特権だ。



「それより、本当久しぶり。」



ヒロが私に抱きついた。



「るいの匂い。」



ヒロがくんくんと鼻を動かす。



「ヒロは、ちょっとお酒臭い。」



「ああ、夕方から飲んでたから。」



ヒロはわざと、私の頬のキスをした。



「誰と?」



悪態付いてやろうと思ってそう聞いた。




「え?南原さん。」



そう答えてヒロは私の顔のあちこちにキスを始めた。



ん…?



「ずっと二人だけで?」



「ん?最初は何人か他の奴らもいたけどっ…んっ」



ヒロはそう答えると、私をソファの上で押し倒した。



「きゃっ…最後は南原さんと二人きり?」



私はヒロを見上げて真っ直ぐ見た。



「だからそうだって。…はぁっ。」



ヒロは早口で答えてから、深くキスをしてきた。



なんで…




なんで、



嘘ついたの?




ヒロのキスが激しくなった。




舌と唾液が入り込み。



ヒロの息が荒くなる。



私の体温は上がらなかった。



なんで隠すの?



なんでもないただの共演者なんだよね?




こんな試すようなことするんじゃなかった。



後悔した。



ヒロは私に変な思いさせないようにしてくれたに決まってる。




ヒロがなにかあるわけないし。



そう考えてる間に、ヒロの手がスーツのボタンにかかった。




さらにシャツのボタンが外される。




「ヒロ…」



ちょっとだけ泣きそうになった。



「もう1週間触れてなくて、すぐこうしたかった。」



ヒロの息遣いが少し荒くなる。



ヒロが真っ直ぐ私を見下ろしてそういうと、私の首筋に唇を這わせた。



お腹の底から快感が湧き上がったかと思った。



だけどその途端によぎる、お店から出てきたヒロの姿。



ばか、何考えてんだか。



ヒロはそのまま器用にスカートのファスナーを下ろした。




「ヒロ、お風呂…」



「そんなん待てねえよ。」



ヒロの野生的な声が響いた。



「スーツ燃えるわ。」



そしてニヤッと笑った。



ヒロは唇を胸元に這わせた。



舌が肌をツーッと滑る。



「汗の味。」



「ちょっとやだ。」



だってヒルナンデスのスタジオも暑かったし…




そう思えば、スタジオでも距離が近かったふたりが横切る。



だから…!



こんなときに…



久しぶりなんだから。




ブラを外され、乳房を揉みしだかれて、乳首を弄られる。



快感のはずなのに、没頭できない。



映像が過るから。



舌と指で両方の乳首を刺激される。



「ああんっ!」



気持ちいのに…




「あっはあっ!んあっ…ヒロォ!」




私は体を反るほどの快感を得る。




ヒロの息も荒くなる。



足に硬くなったそれが当たっていたからわかる。



「るいっ…」



ついに下着の上から秘部に触れられて、体が震えた。



「ん、」




ヒロは早急にそれを取り払い直接触れた。




「るい、どうした?気持ちよくない?」



ヒロの切なそうな声がした。



眉を垂れ下げて、私を見てた。



「え?なんで、そんなこと。気持ちいいよ?」




「濡れてない。気分乗らねえの?」



あ……



ばか、変なこと考えてるからだ。




ヒロが目の前にいて、こんなに愛してくれてるのに。



するとヒロはそこを潤すため、顔を埋めた。




「あっ、あ、やぁ…」




舌が私の秘部を探る。



クリも丹念に舐め上げられ、体が熱くなる。



集中しなきゃ。



そう思えば思いほど、私の体と心は離れていった。



生理的に濡れた秘部はヒロのモノを受け入れる。



「あ、あっ」



ヒロが気持ちよさそうに声を上げた。



「動くよ…っ」



余裕のない声が響いて、ヒロが律動を始めた。



だけど、あんまり感じなかった。



胸のつかえは外れなくて。



ヒロが興奮するほどに冷めていくような感覚。



「あっああ!るい、るい!」



名前を呼ぶヒロのモノは硬さをました。




「わるい…俺、イクッ…くっは!」



ヒロは少し戸惑いながら、薄目で私を見ると先に果てた。



その精液が私の奥にぶちまけられた。



奥に熱いものが広がる。


ヒロはあまり余韻に浸ることなく、また律動を開始した。




すると、萎えたはずのそれがまた硬さを取り戻す。



最奥とGスポットを交互に責められ、首筋と耳を舐められた。



ヒロの少し必死な顔に私の胸は高鳴った。



だけど、それを少し冷静に見てる自分もいて。



私は浅い絶頂を迎えて、ヒロの首に抱きついた。



ヒロのモノを咥えたまま秘部をヒクヒクさせていると、その刺激でまたヒロの中から精液が流れ出した。



「あ、ああ…」



ヒロが切なそうな声を上げる。



今日は本気で興奮できないかも。



ヒロがずるっと私の中から抜け出した。



腕をついて私を見下ろす。



なんともいえない顔で。



「なんか、あった?」



「え?」



私は思わず目を見開いた。



「あんまり気持ちよさそうじゃなかったよね。」



「だから、そんなことないよ。」



「ほかに好きなやつでもできた?」



ヒロはそういうと、唇を胸元に這わせた。



「んっ…そんなわけっ!」



むしろこんなに嫉妬してるのに。



「俺と会わない間、誰かとした?」



ヒロの言葉がショックだった。



「本気で聞いてんの?」



私は眉をひそめた。



「俺じゃ、興奮しねえ?全然イッてねえじゃん。」



ヒロが焦ったく肌を舌で刺激し続ける。



「そんなことっ…ない。」



「他のやつのとこになんか行かせない。」




今度はヒロの手は腹部に触れた。



「るいは俺のものだ。」



そうだよ。わかってるよ。



私もヒロのものになりたい。



ヒロは…


「ごめん、たぶん、今日、気分乗らないだけなの。」


「そう…」



ヒロは体を離した。




「気にすんな。」




ヒロから目を反らしてると、ヒロがそう言って私の髪を撫でた。




びっくりするくらい優しい手つきだった。



私はヒロに抱きついた。



「うおっ!なんだよ、変なやつ。」



ヒロは私の背中に手を回した。




ヒロは優しい。



実はみんなに。



「他のやつそんなとこ見せんなよ?」



「ヒロは女の子と仲良しのくせに。」




「はー?俺が?」




ヒロが笑って言った。




「ごめん、」



「…なにが?」



「さっき、ご飯屋さんから、ヒロがモデルの子と二人だけで出てくるとこ見てた…」



ヒロの肩に顔を埋めたまま言った。



沈黙が流れる。



「…ごめん。」



「なんで謝んの?なんかあるの?」



私は顔を上げてヒロを真っ直ぐ見た。



「なんもねえよ!だけど…嘘ついたから。」



ヒロは深刻そうに目を伏せた。



「私が、変な聞き方したのが悪かったから。」



「…本当、飯食ってただけ。」



眉が垂れ下がったヒロの顔。



「わかってる。」



私は頷いた。



「でもね、今日、収録見てても、ヒロとあの子、距離近かったから、ちょっと…妬いた。ヒロとあんまり会えてなかったから、羨ましかった…」



「るい…かわいいっ」


「わ!」



今度はヒロに抱きしめられた。



「だって、楽しそうに話してんだもん。ヒロ、ずっとあの子の方、向いちゃってさー!」



「俺って愛されてんだなー!」



酔っ払ってるせいかヒロは嬉しそうに言った。



「いや、ちょっと…」



「そんなん、番組だからに決まってんだろ。CM中の俺見てねえの?」



「えー?まあ、女の子と全然話してなかったけど。」



「るいと今夜会えることしか考えてなかったから。」



「ヒロー。」



「よしよし。いやー、嬉しいなあ…」



ヒロがニヤついてる。



「喜ぶのおかしい!」



「るいの前にいるのだけがほんとの俺だから。」



私は頷いた。



「で、もっかいしていい?」



ヒロが私の顔を覗き込んだ。



にやにやして。



「もう一回だけね?」



「え、そういうなよ。」



「気持ち良かったら、考える。」



私は笑顔で言った。



「そりゃがんばんねえとな。」












おわり
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