赤色アイドルが恋人でした。

□待ってる
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ついに最後テストも終わった。


イベント事なんて、あんまり気にはしてなかったけど、自然に入ってくるが、いつもの俺と違うと感じる。


そう、2月にはバレンタインがある。


なんで、俺はそわそわしてるのか。


るいちゃんに会う予定もないけど。


でも、どうにか、俺はこの気持ちを伝えたい。


なにより、時間がないのだから。


俺は、携帯を手にしていた。


―――るいちゃん、久しぶり。元気にしてる?ちょっと時間できそうなんだけど、またごはんでもどう?


送ってみたメール、返信が来るまで俺はソワソワしていた。


仕事の待ち時間の間、俺は携帯を離せないでいた。


てか、あのメール、俺の気があることばれてんのかな。


―――誘ってくれてありがとうございます!ごはん、行きたいです!


「うおっしゃ!」


帰って来た返事をみて、思わずガッツポーズをしてしまった。


るいちゃんの言葉だけで、笑顔と興奮が止まらない。


人ひとりの言動で、人間ここまで変われるんだと思った。







当日、俺は約束の場所に車で向かった。


バレンタイン1週間前の街は、カップルとデコレーションされたショーウィンドウで光って見えた。


近くの通りに着くと、俺は歩道にるいちゃんの姿を探した。


人気の少ない場所を探したつもりが、人影も多い。


えーっと…


あ、


歩道の端っ子に立って、キョロキョロする姿を見つけた。


少し長めのスカートがふわふわ揺れてる姿が目に飛び込んできた。


俺を探している姿がかわいらしくてずっと見ていたくなるけど、


まだ肌寒い中、そんなこともさせられないので、俺は路肩に車を止めた。


「お待たせ。」


俺は車を降りて、るいちゃんの前に立った。


「今着いたところですよ!忙しいのにありがとうございます。」


るいちゃんの笑顔は相変わらず。

「いやいや、ちょっと落ち着いたんだよね。こっちこそ急にごめんね。」


「ううん、本当にうれしかったです。」


お互いに遠慮の掛け合いのような言葉に、二人で笑ってしまった。


「じゃあ、行こっか。」


「これ、翔さんの車ですか?」


るいちゃんが目を丸くした。


「うん、今日、ちょっと遠出しようと思って。」


「えー!本当ですか?やった!」


るいちゃんが嬉しそうに飛び跳ねた。


「乗って。」


俺は車のドアを開けた。


るいちゃんは目を少し大きく開いて、俺を見た。


「どうかした?」


俺は心配になって首を傾げた。


「い、いえ!ありがとうございます!」


るいちゃんは笑顔で、車に乗り込んだ。










「翔さんが運転するなんて知らなかったです。」


るいちゃんは子供のように前のめりになりながら、外を見ていた。

「休みとか最大限活用したいと思ったら、絶対車だからね。」


「確かにそうですよね。」


「すごい景色がいいレストラン教えてもらったんだ!」


「え、楽しみ!櫻井さんが連れてってくれるの、いっつも素敵なお店だから。」


「全部教わったところで恥ずかしいんだけど。」


本当教わっといてよかった。


るいちゃんが隣で笑ってると思うと、思わず脇見をしそうになる。


「るいちゃんってテレビどんなの見るの?」


俺と会ってない間も、俺のこと見てるんだろうか。


「お笑い番組とかですかね。」


うわ、全然違う答え返ってきたー。


「ああ、…お笑い好きなんだ。」


「はい!大好きです。」


るいちゃんは嬉しそうに答えた。


自分とはまったく違う分野の芸能が好きとわかり、俺は少し落ち込んだ。


「でも、なんか、最近櫻井さんの影響か、アイドルの人の番組見ちゃいます。」


「そ、そう?それは嬉しいな。」


本気でにやにやと笑ってしまった。


「このまえ、翔さんが歌ってるところ見たんですけど、すごい素敵でした。見てるだけで、なんか楽しくなるような。」


「そう言ってもらうと、やってる甲斐があるなあ。」


俺はハンドルを切りながら言った。


「櫻井さん、学校もあるのに、本当すごいですね。私で息抜きになるんだったらいつでも呼んでくださいね!飲みにつれだしてくれていいんで!」


なんでなんだろう、同じようなこと言ってくれる人はたくさんいたんだけど、やっぱり君だから…


「本当に誘うよ?」


「いいですよ!櫻井さんといるの楽しいんで。」


るいちゃんはどうしてそんな期待させることを言うのか。


自然な優しさにいつのまにか癒されてた。

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