毒舌芸人が恋人です。

□励まし系女子
1ページ/1ページ




「ただいまー」



疲れた声で、ヒロが帰ってきた。



「おかえり。」



ヒロが、大きなかばんを持ってリビングに入ってきた。




なんだかすごい負のオーラが。




「どうしたの?今日、仕事大変だった?」




なだれ込むように、ソファに腰を下ろしたヒロに近づき、その顔を覗きこんだ。




「平気」



「そっ…か。」



今日は触れない方がいいかなと思い、私は腰を上げようとした。



「ちょっと待って。」



そのときヒロが私の腕をつかんで止めた。



「ん?」



ヒロが死んだ目でこっちをみている。



「ここ座って。」



ヒロが私の腕を引き、膝の間に座らせて途端に強めに抱きしめてきた。




珍しい…



「おまえ、体温高いよな。」




そう言いながら、ヒロが首元に顔を埋めてきた。




「そうかなー?」



「すげえ、疲れた…」



「…そっか。…お疲れ様。」



私は手を後ろに回して、頭を撫でて上げた。



「ありがとう。」



「みんなを楽しませるのって、きっとすごいエネルギー使うよね、ありがとうね。」




「なんでありがとうなの?」




ヒロが少しだけ笑った。




「私を一番笑わせてくれるのはヒロだから。」




「あんまり俺のテレビ見ないのに?」




「最近はよく見てるし、ヒロの番組見る時は腹筋崩壊するんだから。」




「それはご迷惑をおかけして…」




ヒロは浅く腰掛けていたソファから体を起こして、深く腰掛け、私のお腹をぎゅっと抱きしめた。




「うわっ」




「もう、るいが笑ってくれるならなんでもいいか。こうしてるときすごい幸せだし。」




「…いいんじゃない?」




「よくないけど。」




ヒロがまた笑った。




「ははっまあ仕事なくなったら、私が養ってあげるから。」




「よろしくお願いします。」




ヒロが私を振り返らせると、きょろきょろしながらも私に目を合わせようとする。




「なんで目泳いでるの?」



「いや、そしたら俺が主夫するわ」



「本当に?助かる!」



「うん。」



ヒロはそう答えると唐突にキスをしてきた。



「…なに?」



思わず笑ってしまった。



「人にこんなことさせといて、笑わないでよ。」



ヒロが照れて笑った。



「ごめんて。」



私はヒロの垂れた髪を直して、キスをした。



おわり

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ