短編夢小説
□大好き、
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「どうしたの?呼び出して」
「………」
私は、恋人である風澄徹を呼び出していた。
何故か、
それは…………。
「別れよう、徹」
「……え…?」
「もう、疲れたの。徹との関係に」
私達は、常に戦いの中に身を置いている。
もし、どちらかが死んだら……。
なんて、建て前。
ホントは……。
鏡華の嫉妬に疲れたから…。
でも、無いの。
「もう、私達、恋人って言えないよ」
「何で!?」
「だって…、もう二人で居られる時間なんて、無いじゃない。それに……」
この先は、私自身が傷付きそうな事。
だから、言いたくない。
私はつくづく勝手だ。
徹が傷付くより、自分が傷付く方が怖いなんて。
私が抱いていた徹への想いは、それ位だったって事かぁ……。
いくら傷付くのが怖いからって、言わない訳にはいかない。
「……徹は、ちゃんと{私}を見てる?」
「………!」
……やっぱり。
「無理して、私と恋人しなくてもいいんだよ?本当に好きな人と幸せになって…?ね、徹。バイバイ、幸せだったよ」
「ナルっ!」
私は、そこまで一気に言ってその場から駆け出す。
徹の顔を見るのが、怖い。
もうこれ以上私の勝手で徹に悲しい顔させたく、ないから……。
徹は、きっと私と居るより……
……鏡華と一緒の方がきっと幸せになれる。
……バイバイ、徹。
……ううん、もう徹なんて呼べないね。
私はこの瞬間から他人同士だ。
これからは、「風澄さん」、だね。
でも、その前に、最後に、もう一回だけ……。
「徹っ……、大好きっ……!これまでも、これからも、ずっとっ……!」
涙が目から溢れて溢れて溢れて止まらない。
ああ、馬鹿だなぁ、私は。
こんなに、まだ大好きなんて……。
徹……風澄さん、私なんかよりもっといい人を見つけてくださいね。
私も、もっといい人を見つけてみせますから…………。
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2015/06/14 fin,