短編夢小説

□転じて幸せ
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(アナタの笑顔が見れるなら。の続き)

そんな半ば上辺だけの恋人生活も、2ヶ月過ぎた。

私は、いい加減嫌になっていた。

(もういやだよ………。先輩は、私を見ていないし………)

その次の日、私は先輩に訊いた。

「先輩は私の事、好きですか?」

先輩はちょっと驚きながらも、

「ああ、好きだぞ…?」

と言った。

でも、その言葉が本物に聞こえない。

今、私の心はどうなっているんだろう。

多分、バラバラに砕け散ってしまいそうな程、ヒビが入ってしまっているんだろう。

「…ホントに本当?“私”の事が好き?」

「どうしたんだ?ナル。なんか変だぞ」

「……もう先輩の恋人ではいられません。先輩がホントに好きな人は……。
お姉ちゃんでしょう?
さようなら。本当に好きな人と付き合ってくださいね?」

私はそういって、その場から駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
〜烏丸side〜

「ナル…」

あんな事を言われても、否定はできなかった。

「俺は…どっちが好きなんだ?」

分からなくなっていた。

小南先輩が好きなのか。

ナルが好きなのか。

俺は…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 
ナル視点

「烏丸先輩……」

ずっと好きだった人。

例え私を《代わり》としてしか見ていなくても、傍に居てくれるだけで幸せだった。

「先輩っ…………!」

気がつけば、泣いていた。

涙が、溢れて溢れて。

いくら拭っても、止まらなかった。

「………ナル」

「……!!」

「ナル、ごめん。俺はずっとナルの事、小南先輩の代わりにしてた」

「…知ってます」

「でも、お前が泣いてるの見てやっと分かった。俺が本当に好きなのは、ナル。お前だって」

「え?」

「好きだ、ナル。『小南桐絵』としてじゃなく、『小南ナル』として」

「私っ、は……。ずっと、ずっと、好きですっ………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
ようやく、大好きな人と《恋人》になれました。

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2015/05/13 fin,

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