短編夢小説

□涙
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「…ふぅ。」

バイトを終えて、玉狛に帰ってくると、誰もいないように静かだ。

…当然か。誰もいないのだから。

…俺と、アイツを除いて。

俺とアイツ以外の玉狛にいた隊員やオペレーターなどは全員死んだ。俺が、殺した。

アイツ…ナルと二人きりになるために。

俺は、自分の部屋の前に立った。

軽くノックをする。

中からジャラっという鎖の音がする。

…あぁ、アイツは、逃げないで、まだいる。

そんな安堵感を覚えた。

部屋のドアを開けると、

「…ただいま。」

「ぁ、お、お帰り、なさ、い。」

少し怯えた様子のナルがいた。

玉狛の皆を殺した後、俺は自分の部屋にナルを閉じ込めた。

俺は自分のしていることが重罪だと分かっていても、やめることができなかった。

…だって、こんなに怯えているナルは、殺したくなるほど愛おしいのだから。

「あぁ、やっぱりお前は可愛いな。」

「…」

「…ふっ、その顔、ちっとも嬉しくないって顔だな。」

「…当然、でしょ、う…?」

「心外だな。ナルも俺の事を愛してくれているって思ってるのに…。」

「誰っ、が…、アナタなんか…。」

「名前で呼べって、言ったろ?呼ばないと…どうなるかわかってるよな…?」

閉じ込めてから、随分経つのに、ナルは未だに俺のことを名前で呼んでくれない。

ナルが俺のことを名前で呼ばないときは、俺はその日の夜、ナルを犯す。

その時、泣くナルも、痛がるナルもとても可愛らしいんだ。

あぁ、今日も、泣き叫んで痛がって、せめてもって感じで抵抗する、そんなナルが見たくて見たくて堪らない…

「なぁ、ナル。」

「ひっ…。」

俺は、ベットの上にいるナルの上にまたがって、言う。

「…いいよな?」

「う…。」

ナルの目から、涙がこぼれる。

…なんで、泣くんだ?

この結果は、お前も望んだことだろ?

だって、お前、言っただろ?

「先輩って、無表情でつまらないですー、もうちょっと荒っぽくなっても…いいんじゃないですか?」って。

どうして、嫌がる理由がある?

「泣くなよ、ナル。」

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お願い、先輩、もう、やめて…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
悪いな、ナル。もうやめられない。

 

 

 

 


 

 

 

 

 
「あぁ、ナル…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
――愛してる



 

 
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2015/01/29 fin.   2015/02/03 加筆

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